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防風林「温暖化の影響は水産分野にも色濃く【2021年10月2週号】」

 ▼岸田内閣で初入閣した金子原二郎農相は、就任会見で漁業を取り巻く情勢の厳しさを重ねて口にした。海面漁業・養殖業の産出額がトップの北海道に次ぐ長崎県の出身。衆院議員を3期、県知事を3期務めており、現在の参院議員としても水産を自らの仕事と認識していると述べた。特に北上するブリの例を挙げ、漁業対策に意欲を示した。
 ▼北海道のブリ漁獲量は2010年ごろまで年間数百~3千トン程度だったが、11年以降は7千~1万2千トンで推移する。本来は高水温を好む魚で、海水温の上昇が要因とみられる。せっかくの豊漁も、地元での処理が追いつかず、当初は魚価も低調だったそうだ。
 ▼近年、不漁が話題になるサンマやスルメイカ、サケなども温暖化やそれに伴う海洋環境の変化が主な要因とされる。加工や流通の体制は、獲(と)れる魚種に合わせて構築されており、急な変化への対応が難しいという。
 ▼水産分野も消費減少や担い手不足など問題に直面する。おいしい魚を食べ続けるため、有効な対策の構築を求めたい。