ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

耕作放棄地で飼料生産 コスト削減と地域貢献に【12月2週号 千葉県】

211209_5.jpg

 【千葉支局】「飼料を作付けることでコストが削減でき、循環型農業にもつながる。自分で作った飼料は安心して牛に供給できる」と話す東庄町の高木輝博〈たかぎ・てるひろ〉さん(45)。両親や妻、従業員5人で、乳牛「ホルスタイン」種約80頭を飼養し、効率の良い経営のために自給飼料作りに力を入れる。両親が栽培していた自給飼料の畑に加え、地域の耕作放棄地に作付けて面積を拡大した。現在は畑約15ヘクタールで飼料用のデントコーンを栽培し、年間約250トンを収穫する。自分の家で出た堆肥の処理のほか、近隣の酪農家から堆肥を譲り受けて施用。耕作放棄された農地の荒廃を防ぎ、地域に貢献しながら安定した飼料作りに取り組む。牛の健康のために季節で餌を変えたり、夏の暑さ対策として畜舎の屋根を遮熱性の高いセラミック塗装に変更したりと、牛に優しい酪農を実践する。結果的に乳質・乳量の向上と乳房炎の減少につながり、人も楽になったという。繁殖成績が向上したため、9月から11月の授精数を調整して夏場の出産を減らした。さらに、酪農家では全国でも珍しいとされている「ホルスタイン種への和牛の受精卵の2卵移植」で双子生産を実現した。「さまざまな問題に対応するために、これからもいろいろチャレンジしていきたい」と高木さん。「将来的には子供たちに酪農をやりたいと思ってもらえるような、牛も人も楽しく過ごし、仕事も私生活もみんなが助け合える牧場づくりをしていきたい」と話す。

〈写真:デントコーン畑で高木さん。「耕作放棄地の減少に貢献したい」と話す〉