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放牧経営の夢実現 「牛が幸せを感じられるように飼いたい」【2月4週号 鹿児島県】

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 【鹿児島支局】屋久島と奄美大島の間にあり、七つの有人島からなる十島村。その北端の口之島で、母牛30頭を飼養する肥後あすかさん(30)は、夢だった放牧経営を実現した。県立農業大学校や大規模農場で経営方法を学んだ。「牛が自由に動き回り、いきいきと育てられるような経営がしたい」と、放牧の基盤が整った十島村にUターンして経営を始めた。同村では1人の獣医師が七つの島を担当するため、往診の機会が限られる。急な体調不良などは電話で獣医師に判断を仰ぎながら、自ら対処するときもあるという。「病気を未然に防ぎ、できるだけ獣医師に頼らない経営をする必要があると感じました。牛にストレスを与えないように、島の地形を生かした放牧で、のびのびと育てています」。同村と本土との交通手段は定期船だけで、セリ市に出すのも飼料の運搬も船の運航しだい。船は気象条件で1~2週間止まることがある。「1、2週間は備蓄を活用したり、畜産仲間と分け合ったりします。3週間止まったときは飼料も物資も底を突くほどでしたが、仲間とやりくりして乗り越えました」。目標は安定した品質の子牛を出荷すること。雌牛が9カ月で体重300キロ、去勢牛が8カ月で体重320キロを目指す。「牛が幸せを感じられるような飼い方をしたいですね。優良血統の導入にも取り組んでいきたい」と意気込む。

〈写真:「牛の姿が見えなくても、私の呼びかけで集まってくれますよ」と肥後さん〉