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有機肥料10種類以上組み合わせ 評判のトマトは土が決め手【3月4週号 山梨県】

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 【山梨支局】南アルプス市で新原農場株式会社を経営する新原裕さん(33)は、ミニトマトと中玉トマトをハウス20アールで栽培。「よりおいしいトマトを作るため、土作りには特にこだわりを持って取り組んでいます」と、有機肥料10種類以上を施す。味が濃くおいしいと評判で、市内の小学校の給食にも使われている。東京のサラリーマンだった新原さんは、農業に興味を持ち、「豊かな自然が魅力」と山梨県に移住。2015年に有機トマトを栽培する農業法人で就農し、翌年に独立した。栽培を学ぶ中で、「水耕より土耕の方がおいしいトマトができる」と土耕栽培を決意。2、3種類では栽培に必要な成分を補えないので、魚粉やカニ殻、バチルス菌などを使った10種類以上の有機肥料を組み合わせて施用する。「魚由来100%のアミノ酸液体肥料は、有機の中では即効性があり、効果的で重宝しています」。追肥で必要なカリウムやカルシウムは有機肥料だけで補うことは難しいため、化学肥料も施用する。有機肥料をなるべく使うように心掛けるとともに、エコファーマーの取得を目指す。栽培するのはミニトマト「千果」「プチぷよ」、中玉トマト「フルティカ」。4、7、9月に定植し、年間を通して収穫する。1人で作業することを基本にしているが、最盛期の7、8月の収穫作業にはアルバイトを2~3人雇用。年間15~16トンを収穫し、直販サイトを通じて販売するほか、県内スーパーや直売所に出荷する。1キロ千円で収穫体験を受け入れ、「『おいしかったよ』と言っていただくことがモチベーションになっています」と新原さん。今後は地元の小学生の体験学習に取り組むという。「規模を拡大し、メディアなどを活用しながら販路を広げていきたいですね。最終的にはマーケットを海外まで広げ、より多くの人に喜んでもらえるようなトマトを作りたい」。19年の台風19号でハウス3棟が被害に遭い、うち1棟は全壊した。新原さんは「経営が続けられるか不安でしたが、園芸施設共済の共済金でハウスを再建できました」と話す。被災後は復旧費用特約や付保割合追加特約を付け、手厚い補償に変更した。

〈写真:日本トマトソムリエ協会を主宰し、全国トマトグランプリを毎年開く新原さん。「多くの方に参加いただき、全国にトマトのおいしさを広めたい」と話す〉