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ホースセラピー+野菜栽培 人も馬も生涯活躍できる場に【4月1週号 島根県】

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 【島根支局】「人も馬も生涯にわたって活躍できる場を提供したい」と話すのは、社会医療法人正光会が運営する「さんさん牧場」の大賀満成〈おおが・みつなり〉施設長(57)。益田市で観光牧場を営むほか、就労継続A型事業に取り組み、障害者が馬の世話や農業などに携わることで社会復帰に必要な能力を養うことを目標としている。以前は益田市立馬事公苑を乗馬クラブが運営し、市民に親しまれていたが、施設の老朽化などで2018年3月に廃止。しかし、施設の存続を望む声が多く寄せられたため、行政のサポートの下、医療法人が母体となり、障害者の就業先にもなる施設として19年2月に生まれ変わった。牧場で飼育する馬は、7頭のうち4頭が引退した競走馬だ。観光牧場としての乗用馬やセラピー馬として第二の人生を送っている。ほかにもミニチュアホースやウサギ、ヤギなどを飼育。利用者は動物の世話を通して身体能力を向上させるとともに、積極的な社会性を身に付けていく。20年5月から農福連携に取り組み、ハウス4棟(23アール)、露地(2アール)でタマネギ、カボチャ、キュウリなどを栽培。利用者の就労や生きがいづくりの場が生まれ、新たな働き手の確保につながると見込む。職業指導員の松尾穂乃香(ほのか)さん(24)は、農業関係の高校と大学を卒業。その経験を生かし、馬ふんは農作物を育てる堆肥として利用することを提案した。松尾さんは「定番の野菜のほか、今後は珍しい作物の栽培にも挑戦し、ブランド力を上げていきたい」と話す。農作物は近隣のスーパーや道の駅で販売。売り上げを馬の飼育や施設の運営費用に充て、循環型農業を実現した。これらの取り組みが評価され、「ノウフク・アワード2021」のチャレンジ賞を受賞した。

〈写真:「馬のいる風景をいつまでも残していきたいですね」と話す大賀施設長(右)、職業指導員の松尾さん(中央)と﨏畑雄一郎さん〉