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肉質で高評価の肥育経営 メタン抑制へ機能性飼料【5月4週号 福岡県】

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 【福岡支局】肥育牛550頭を飼育する田川市の山崎竜也さん(33)は、1カ月に24頭ほど出荷するサイクルを組む。出荷先の業者からは「肉質が良く、もっと卸してほしい」と要望があるという。山崎さんは「家族で経営しているので、出荷頭数を増やすのは難しいところはありますが、素直にうれしいです。モチベーションが上がりますね」と笑顔を見せる。祖父の代から畜産業を営み、F1(乳用牛と肉用牛の交雑種)を3年前に導入するなど肥育に力を入れ、昨年9月に初出荷した。「飼料が高く、経営的にも苦労しましたが、何とか出荷できました。苦労した分、喜びは大きいですね」と話す。最近では、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した飼育方法を導入した。SDGsの目標の一つ「気候変動に具体的な対策を」では、気候変動やその影響を軽減する対策が急務とされ、飼料高騰の一因にも異常気象が挙げられている。山崎さんは、異常気象の原因となる温室効果ガスの排出を減らせれば、飼料価格の安定につながるのではと考えた。牛のげっぷから放出されるメタン(農林水産省は主要な温室効果ガス排出源と位置付けている)を抑制するため、カシューナッツ殻液を配合した機能性飼料「ルミナップ」を飼料に混ぜて与えている。「私一人の力は小さなものかもしれませんが、何かしら対策に取り組んで改善につなげていきたいです」と山崎さん。「牛舎にまだ空きがあるので、そこを利用して出荷頭数を増やしたいです」と意欲的だ。

〈写真:メタン抑制効果のある機能性飼料「ルミナップ」を飼料に混ぜて与えている〉