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鉢は再生紙、支柱は竹ひご 不燃ごみゼロのコチョウラン【6月3週号 和歌山県】

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 【和歌山支局】有田市の「有限会社ヒカル・オーキッド(佐原宏代表=65歳、従業員数55人)」は、コチョウラン108アールを栽培。SDGs(持続可能な開発目標)の一環で独自ブランドを開発し、環境に配慮した農業に取り組む。コチョウランの鉢植え出荷は、一般的に樹脂や陶器の鉢に植え、花姿を整えるため金属の支柱を使う。こうした資材は、花が枯れた後は不燃ごみとなる。佐原さんは「ギフトは最後まで喜ばれるものとして、後の処理まで考えなくては」と考え、独自ブランド「フォアス」を立ち上げた。フォアスは、同社の理念「一つしかない地球のために=For One Earth」から名付けられ、地球環境に配慮した持続的な農業の実現を目指す。鉢植えの資材には、竹ひごの支柱や再生紙で作った植木鉢を使い、不燃ごみが出ないように徹底した。資材は自社で開発し、環境に配慮した独自の設計となっている。観賞後のコチョウランの回収・再育成事業にも力を注ぐ。花は散ると廃棄されるのが一般的だが、「専門家が手を加えることで再び花を咲かせる。人々に笑顔を届ける贈り物に再利用することが可能」と佐原さんは話す。現在、コチョウランの付加価値の向上にも挑戦している。和歌山県の伝統工芸「紀州漆器」「熊野黒竹」と連携し、鉢植えにアートの要素を加え、運送用の木製パレットの廃材を鉢で再利用するなど、SDGsの活動に対するメッセージ性をより高められるように取り組んでいる。佐原さんは「これまでの6次産業化に、環境への配慮による付加価値、アートによる付加価値を加えて、農業の8次産業化を目指している」と話す。

〈写真:独自ブランド「フォアス」のコチョウラン〉