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ハバネロ栽培、ソースの販路開拓 全国150戸の農家と業務契約も【8月2週号 京都府】

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 【京都支局】農業を起点に2次、3次産業までの企画を立て、生産物の価値をさらに高める6次産業化の取り組みを進めるのは、京丹波町の「株式会社京都ハバネロの里」。京都丹波地域の農家にハバネロ栽培を委託し、生の状態で出荷するほか、ハバネロソースを製造・販売する。代表の高田潤〈たかだ・じゅん〉さん(27)は「わが社は、ハバネロを25年前に国内で初めて商業生産しました。生産量や品質はどこよりも優れ、ハバネロといえば京都ハバネロの里と言われるほどになりました」と話す。同社が栽培を始めた当時、ハバネロは収穫できる時期が限られ、常に取り扱えず、1週間ほどで鮮度が落ちるため、廃棄することが多かったという。「収穫したものをすべて使い切るには加工する以外ない」と、10年前にハバネロソースの商品化に取り組んだ。初めは販路がなかったが、府内をはじめ全国の展示会に積極的に出展するなど営業を重ね、昨今の激辛ブームが追い風となり今では人気商品となっている。同社の製品を販売する地元の道の駅「京丹波・味夢の里」代表の野間孝史さんは「ハバネロソースはメディアなどで紹介され、道の駅でもよく売れています」と話す。同社ではさまざまなトウガラシの試験栽培に取り組み、府内をはじめ兵庫県、香川県、大分県など全国各地約150戸の農家と業務委託契約を結んだ。メキシコ原産ハラペーニョやタイ原産プリッキーヌのほか、パクチーなどの香辛野菜を栽培する。全量買い取り方式で、同社の倉庫に集荷。首都圏を中心にレストランなどへ直売する。インターネットでも販売し順調だという。高田さんは高校卒業後、生産者をはじめ東京の販売店などで5年間修業。その後、同社で仕事内容を習得し、1年前に代表になった。「今までの取り組みの経験を生かし、6次産業化に興味のある農業者の相談にのって、具現化の伴走をしていきたい」と話す。

〈写真:トウガラシの生育を確認する高田さん。自社の畑で30品種以上を試験栽培する〉