「飲用乳価がキロ10円、約8%引き上げられ、とりあえず良かった。ただ、生産費は新型コロナ前と比べて5割増えており、焼け石に水だ」と、千葉県八千代市米本の加茂太郎さん(56)は嘆く。経産牛110頭、育成牛70頭を飼養する株式会社加茂牧場の代表として、配合飼料や乾牧草、燃料費などの高騰に対応する。泌乳牛に給与する粗飼料はほぼ自給し、飼料用米やエコフィードの活用で飼料費低減に努めている。ただ、8月には副産物の乳用種(雄)初生牛の相場が暴落した。生乳需給が緩和する中、酪農経営は大幅な生産コスト増加に直面し、一層厳しさを増している。
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〈写真:餌寄せをする(株)加茂牧場代表の加茂さん。換気扇を2頭に1台設置して暑熱対策を徹底するが、電気料金の値上げも痛手だ〉