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防風林「適切な価格形成への理解醸成が国産農畜産物の支えに【2023年3月2週号】」

 ▼鶏卵価格の高騰が続き、全国紙やテレビではほぼ連日のように「高い」とか、品薄で卵使用食品の販売が休止されたなどの報道が目立つ。物価の優等生と呼ばれ、潤沢に流通していた鶏卵の異変だ。騒ぐ気持ちも分かるが、もう少し冷静になれないか。
 ▼高騰の要因は、ウクライナ情勢を背景とした輸入飼料価格の高騰に加え、高病原性鳥インフルエンザのまん延で飼養羽数が減少したためと明確だ。政府は、国産飼料への切り替えなど過度な輸入依存からの脱却を図るほか、養鶏場側の対策として、大規模農場の分割管理など被害拡大の回避策も検討されている。
 ▼時間はかかるかもしれないが再度こうした事態を招かないよう関係者も動いている。報道は「高い」「困る」にとどめず、広く国民が問題の要因を知り、解決を考えるきっかけとなる話題も提供してほしい。
 ▼食料安全保障の強化に向けては、消費者の理解醸成と適切な価格形成も課題だ。輸入飼料の価格が下がり、安価な鶏卵の購買行動に戻ってしまえば同じ騒動を繰り返すだけだ。