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防風林「農業体験農園にみる相互理解の可能性【2023年3月4週号】」

 ▼通勤に使う自宅からの最寄り駅近くに農業体験農園がある。2月末に耕起と区画整理が行われ、最近になって小さなトンネルが並んだ。今年の栽培が始まったようだ。参加方法を調べると、新規申し込みは空きが出た分だけの募集になるため、競争率が高かった。
 ▼くわなどの農具や肥料、寒冷しゃなどの資材は農園が用意し種苗も都度提供する。農園では、年間の作付け計画に沿い、数回に分けて植え付けや管理の教室を開く。参加者は手ぶらで農園に通えばよく、翌年の年明けまで季節ごとの野菜を楽しめるのだ。
 ▼1区画は3坪くらいで1人で管理できる広さだが、休日は家族連れも多くにぎわう。年間数万円の受講料も家族で楽しむレジャー経費と考えれば安いものだ。何しろプロ農家が教えてくれるのだから失敗もない。
 ▼農業体験農園は東京都練馬区の農家が1996年に始めた。今では関東の都市部を中心に関西や九州などにも広がっている。食料安全保障などの政策議論では「消費者の理解醸成」が課題に挙がる。農業体験農園には、その糸口があるのではないだろうか。