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防風林「国民一人一人に食料を行き渡らせることが国の責務【2023年4月1週号】」

 ▼「日本には、食料政策を総合的にみる行政機関がない」と指摘するのは、京都橘大学経済学部の平賀緑准教授だ。食料・農業・農村基本法の見直しをテーマにした農業問題研究学会のシンポジウムで食料政策について報告した。
 ▼基本法見直しで農林水産省は、基本理念に「国民一人一人の食料安全保障の確立」を掲げる考えを示した。「国民一人一人が活動的かつ健康的な活動を行うために十分な食料を、将来にわたり入手可能な状態」と定義し、平時からの食料安全保障の達成を図る。背景には格差や貧困など十分な食料を入手できない社会的な問題があり、フードバンクの強化など対応方向を示した。
 ▼ただ、平賀准教授は「食品の寄付が前提の日本のフードバンクでは供給量や質が不安定になりやすい。また、生産物を供給するだけでは必要な人に届かず、食事として摂取できるようにする政策が求められる」と訴える。母親の帰りが遅いひとり親家庭では、子どもにも作りやすいよう包丁や火を使わない食品を届ける配慮が必要という。
 ▼特に子どもの貧困対策は、内閣府と厚労省、文科省が分担し、新設のこども家庭庁も加わる。機能優先の政策実施を望む。