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防風林「農業・農村に期待される防災・減災力の発揮【2023年4月2週号】」

 ▼環境省は、「持続可能な地域づくりのための生態系を活用した防災・減災の手引き」を公表した。行政や地域住民、企業などに活用を呼びかけている。特に近年激甚化する台風や集中豪雨による水害リスクの軽減に焦点を当て、水田やため池などの農地生態系などを活用した防災・減災の進め方について、実例を交えて解説している。
 ▼例えば耕作放棄された水田は、あぜが残っていれば雨水をためる機能を持つ。生物多様性保全の取り組みで湿地に戻す際は、水のせき止めが可能な排水路にするなど一時的な貯留ができる構造にすれば防災・減災の機能維持と生物多様性の両方に資するということだ。
 ▼具体的手順では、生態系保全・再生ポテンシャルマップの活用を紹介する。既存の土地利用や生態系の分布を地理情報システムで可視化し、過去の災害例も踏まえて土地利用の潜在的な可能性を評価。地域で効果の高い取り組みや施策を含めた計画を策定、実践する。
 ▼水田の貯水機能を高める田んぼダムや棚田の保全による斜面崩壊防止なども例示する。防災・減災面でも農業への期待は大きい。