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土壌調査、疎植、肥料・農薬使用を低減 高品質米さらに追求【4月3週号 岩手県】

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 【岩手支局】「品質の良い米を作り、たくさんの人に食べてほしい」と話す北上市飯豊の八重樫哲哉さん(63)。2017年に「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」で最高賞の金賞を受賞後も、土壌調査や疎植などさまざまな取り組みを続け、昨年の同コンクールで3度目の金賞に輝いた。八重樫さんは約3ヘクタールの圃場で「ミルキークイーン」「ひとめぼれ」「銀河のしずく」を栽培する。同コンクールでは、おいしさを示す食味値や炊飯した際の粘度などを示す味度値などが審査の対象。八重樫さんのミルキークイーンは最高賞の金賞に輝いた。米の機能性成分の研究などに取り組む「メディカルライス協会」に依頼し、1年おきに土壌調査を実施する。田植え前、出穂前、稲刈り後の年3回、同協会の専門家が腐植率を調査。肥料や農薬は慣行栽培より少ないという。田植えの際は疎植にする。「植え付けの幅を広げると、根の張りが良くなり強くて丈夫な稲に育つ」と、高品質な米を栽培するために工夫を凝らす。カメムシ対策は、園芸用の支柱の先にネットを取り付けた自作の道具を使う。圃場に立てると、カメムシが寄りつかなくなる効果があるという。「殺虫剤の中には生態系に悪影響を与えるものがあるので、道具でカメムシを防いでいる」米は全国の米穀店へ卸すほか、インターネット通販や同市のふるさと納税の返礼品などで販売。受賞で付加価値や認知度が高まり、販路が拡大している。「受賞で北上市の米が広く認知され、安定収入につながればうれしい」と八重樫さん。「何ごとも挑戦が大事。まだまだ勉強して、米の品質をより良くしたい」と意欲を見せる。

〈写真:カメムシ対策の道具。出穂前の圃場に30アール当たり10本ほどを等間隔で設置〉