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防風林「コロナ禍以上に怖い 世界の紛争拡大【2023年5月1週号】」

 ▼連休明けの5月8日から、新型コロナ感染症の法律上の位置づけが季節性インフルエンザと同様の「5類」に移行する。感染者に求めた外出自粛などの行動制限はなくし、感染した場合の対処は個人の判断に委ねられる。屋内でのマスクの着用義務もすでになく、通勤電車で素顔の人を見かけるようになった。ただ、厚生労働省は、他人に感染させるリスクが高い発症後5日間程度は外出を控えるよう呼びかけている。
 ▼2019年12月に中国の武漢市で最初の感染が報告され、20年1月には日本初の感染者を確認。同年5月までの数カ月間に46都道府県で1万6千人近くまで感染が広がる状況となり、外出自粛や緊急事態宣言など対応に追われた。累計の感染者数は約3340万人、うち死亡者数は約7万5千人にのぼる。
 ▼過去の事例で比較されるスペイン風邪は、1918年から20年にかけてパンデミック(世界的大流行)となった。日本では3年間に3回流行し、感染者数は約2380万人、死者数は約39万人に上る。当時の人口は約5500万人で、現在の半分ほど。インフルエンザウイルスの知見も十分でなかったことも考慮すると、新型コロナを超える恐怖だったのではないか。
 ▼早くコロナ禍前の生活に戻りたいのだが、この間に新型コロナ以上に怖さを増しているのが、ウクライナ情勢のほか、スーダンやミャンマーなど世界各地の紛争の激化だ。スペイン風邪は徴兵を困難にし第1次世界大戦の終結を早めたともいわれるが、現状では国際的な政情の不安定化に歯止めがかかりそうにない。指導者の暴走に効くワクチンがほしい。