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防風林「健康長寿で成した天下とり【2023年5月3週号】

 ▼大河ドラマの主人公である徳川家康は、数え年75歳で亡くなっている。天下分け目の関ヶ原に勝利した1600年は59歳で、当時は高齢とされた年齢だ。その3年後に江戸幕府を開き、さらに12年後の74歳の時に豊臣家を滅ぼし、天下取りを完遂した。
 ▼長生きをした理由に、家康が心がけたという麦飯と豆みそを基本とした質素な食事が挙げられる。当時、身分の高い武士は白米を食べ、麦飯は庶民の食事だった。薬を自ら調合するほど医学・薬学に傾倒していた家康は、一貫して麦飯を食べ、家臣にも勧めたそうだ。ビタミンなどの知識がない時代に麦飯の効用に着眼していたことに驚く。
 ▼また、死の原因とされた「天ぷらで食あたり」も近年は否定されている。倒れてから3カ月ほど床に伏せており、胃がんなど別の疾患の悪化が原因との説が有力と聞く。歴史に"もしも"は禁物だが、もう少し若年で亡くなっていれば、その後250年続く太平の世は訪れなかったかもしれない。
 ▼一方、織田信長は味の濃い食事を好んだ。怒りっぽい行動が目立つ要因を塩分の大量摂取による高血圧体質とする指摘もあるという。本能寺の変で没したのは49歳だが、長生きしても健康でいられたかは分からない。