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防風林「値上げを騒ぐだけでは食料安保の理解は広がらない【2023年5月4週号】」

 ▼鶏卵の高値が続く。JA全農たまごが公表する相場情報では、卸売価格はMサイズ基準値でキロ当たり350円。過去最高値となった前月と同額で前年同月比では6割高だ。マスコミは「また値上げ」「物価の優等生に異変」などと報道を繰り返すが、少し冷静になれないか。
 ▼最近の報道から海外の鶏卵価格を拾うと、10個では香港で約700円、欧州のパリは約千円、ロンドンは約800円、米国は都市部平均で12個で約550円、米国ハワイになると約1300円など。欧州の鶏卵価格は前年比で3~8割高との報道もあり、平時の価格水準自体が高いのかも。
 ▼採卵鶏の生産費の約半分は飼料費が占め、安価な輸入飼料が支えてきた。今後、食料安全保障強化の一環で飼料の国産化を進める場合、"適正価格"の実現には値上げが必要になる可能性もある。消費者の理解醸成ではマスコミの冷静な対応も欠かせない。
 ▼国内養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生は4月7日が最後で、穀物の国際相場も一時期に比べ落ち着いている。課題は多いが、まずは国内生産の回復と安定供給の早期実現を期待したい。