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防風林「安全で快適な作業環境づくりに動き出そう【2023年7月1週号】」

 ▼日本農業労災学会がこのほど発刊した『ILO農業における人間工学的チェックポイント日本語版』(東京大学出版会)が手元に届いた。国際労働機関(ILO)と国際人間工学会が制作した資料の翻訳だ。元の資料は、小規模農業の労働環境改善などのニーズに対応し、世界各地で使われているという。
 ▼同書は、農作業や地域の共同作業の現場で問題となる100項目についてチェックポイントを整理した。世界には、環境の違いや規模の大小、品目など多種多様な農業が営まれている。ただ、労働環境の改善、作業の安全性を高めて事故を予防するための確認項目や手順は共通する点が多い。イラストも豊富で具体的に理解しやすいと感じた。
 ▼人間は基本的に単純作業が苦手で、同じ作業を続けると注意力が鈍る。暑さ寒さなど厳しい環境条件も加わると、事故やけがなどの危険性も高まる。同書では、一つの作業姿勢の継続は過労につながると指摘。負担の少ない姿勢の検討や姿勢を変えながらの作業などを推奨する。
 ▼日常的な作業や環境に慣れると不便を感じても改善に向けた意識が薄れるものだ。同書は、チェックポイントを確認していけば問題点や改善点が見えてくる。団体や指導機関の農作業安全の担当者にはぜひ活用してもらいたい。