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農園継承、ワイナリーへ一歩 産地を守る【7月1週号 山口県】

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 【山口支局】周南市の藤村龍平さん(35)と明日実さん(38)夫妻は、同市で2代続く「日の出農園」を2023年4月に継承した。ブドウ(ハウス30アール、露地50アール)、ナシ(30アール)を栽培し、今年の夏に初の収穫を迎える。「前園主のころから購入いただいているお客さまをがっかりさせることのないよう、おいしいものを作っていこうと取り組んでいます」と話す。藤村さん夫妻は、長野県にある千曲川ワインアカデミーの同期生。卒業後、長野県内のワイナリーで5年働いた龍平さんは、「山口に帰って就農し、ワイナリーを立ち上げよう」と園地を探した。新規就農でワイナリーを新しく始める園地を探すことに苦労する中、22年夏に縁あって日の出農園の紹介を受けた。「ワイナリーへの道のりが長いことは、夫も私も覚悟していました。日の出農園の継承は、産地を守りながら夢を実現する道につながると思いました」と明日実さん。龍平さんは「ワイン用の栽培方法とは違い、贈答用などのブドウは、形・色・糖度のために摘粒作業が必要で、とても大変です」と話す。初めてのナシ栽培に苦労しているが、「地域のつながりに助けられています」と藤村さん夫妻。14農園が加盟する「須金ぶどう梨生産組合」は横のつながりが強く、それぞれの農園を組合員が月1~2回巡回し、情報交換をしている。「地域全体で産地を盛り上げようと、みんなで協力しています。忙しい時期でも園地に足を運び、アドバイスをくださる組合の方の存在は心強いです。みんなで産地を守っていきたい」と力強く話す。

〈写真:園内を見回る藤村さん夫妻。「彼の言うことを信じ、両親と3人で後を追いかけています」と明日実さん〉