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世界一辛いトウガラシ栽培 加工品販売に手応え【7月2週号 大阪府】

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 【大阪支局】高槻市で「オーガニックファームHARA」を営む末延冬樹〈すえのぶ・ふゆき〉さん(37)は、世界一辛いとギネス世界記録に認定されるトウガラシ「キャロライナ・リーパー」を30アールで栽培し、年間約1トン収穫。一味唐辛子をはじめ加工品の製造・販売にも取り組む。末延さんは2016年に同市の原地区で約10アールの畑を借り、少量多品目野菜の栽培に挑戦。しかし、通販で出荷した作物が再配達になり野菜が傷むなどの悩みを抱えていた。そこで「何か特異性のあるものを作りたい」とトウガラシに目を付け、これまでに7品種ほど試作し販売を試みた。先輩農家からは「原地区ではトウガラシの栽培は無理だ」と言われたが、研究熱心な末延さんは、畝を高くするなど工夫し、キャロライナ・リーパーの収穫にこぎつけた。その後、加工品の製造にも取り組む。テレビ番組でキャロライナ・リーパーが取り上げられたことをきっかけに、月1、2本の売り上げだった一味唐辛子が1日に100本売れ、「今後の見通しができた」と振り返る。キャロライナ・リーパーの種は開発者から直接購入。魚粉、海藻、カニ殻などを混ぜて完全発酵させた有機肥料を使って育てる。栽培はとても繊細で、発芽から移植までは温度管理などに特に気を使うという。加工は、洗浄後に香りを飛ばさないように専用の乾燥機で3日間かけて乾燥させた後に粉砕。保護用ゴーグルが必須で、手袋は何枚も重ねないといけないほど刺激を伴うつらい工程だ。主にネット販売で、「しんどい思いをして作ったものが売れるのはうれしい」と末延さん。「栽培面積を増やすのは難しいので、加工品の種類を増やしていきたい」と話す。

〈写真:「手間暇かけて大切に育てている」と末延さん〉