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防風林「泥沼化する戦争のしわ寄せは世界の弱者に向かう【2023年8月1週号】」

 ▼ロシアとウクライナとの戦争で非人道的な兵器であるクラスター爆弾を双方が使用していると報じられた。そもそも人道的な兵器などないのだが、クラスター爆弾は不発弾が多く、戦闘後の民間人の犠牲が後を絶たない。使用を禁止・制限する条約があるものの、ロシアとウクライナ、ウクライナにクラスター爆弾を供与する米国は条約を批准していない。
 ▼さらにロシアは、ウクライナ産穀物の海上輸送の安全を担保する穀物合意からの離脱を宣言。ウクライナ産穀物の輸出が滞る懸念から、小麦の国際市況が一時高騰した。中東や北アフリカでは食料を安価なウクライナ産穀物に頼る国が多く、低所得層を中心に食料を十分入手できない飢餓人口の増加など食料危機の恐れが指摘されている。
 ▼世界食糧計画(WFP)は、世界で最大8億2800万人が飢餓に苦しみ、新型コロナ流行前と比べ2億人も増えたとする。最大の要因は紛争で、飢餓に苦しむ人の7割は戦争や暴力の影響を受けた地域に住む。
 ▼ロシアとウクライナの戦争が非人道的兵器の使用を機に激化しないか心配だ。そのしわ寄せは世界中に及ぶ。各国の指導者には早期終結に向け一層尽力してほしい。