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防風林「老後は人間だけが持つ特別な期間【2023年9月2週号】」

 ▼少し考えると当然かと納得するが、生物の中で"老いる"のは人間だけだという。野生生物は、老化する前に食べられてしまうか、食料がとれずに大半は死んでしまう。老化する期間はあっても相当に短いそうだ。生物の老化を研究する小林武彦氏の『なぜヒトだけが老いるのか』(講談社現代新書)に学んだ。
 ▼小林氏によると、ほとんどの哺乳動物は子どもを産める期間を終えると寿命を迎え、人間に近いゴリラなどは50歳前後で亡くなる。また、人間は55歳以降にがんで亡くなる人が急速に増えると指摘。50~60歳以降を老後とすれば人生の40%が老後だとする。
 ▼ただ、悲観する必要はなく、老後が長いのは人が進化の過程で獲得した性質と訴える。子育てや社会の維持などはシニア層の多い集団の方が有利なために残ってきたと考察し、少子高齢化の時代こそ社会で多数を占めるシニア層が活躍すべきと提起する。
 ▼著書に従えば、すでに自分も老後に入った。他の動物にはない特別な期間と捉え、有意義な使い方を考えてみたい。