ヘッドライン一覧 購読申込&お問い合わせ 農業共済新聞とは? 情報提供&ご意見・ご感想 コラム防風林

防風林「人を呼び込む工夫が過疎地の活路を見いだせないか【2023年9月4週号】」

 ▼総務省などは、2023年度の過疎地域持続的発展優良事例表彰の総務大臣賞3事例と全国過疎地域連盟会長賞5事例の決定を発表した。10月26日に富山市で開く「全国過疎問題シンポジウム2023inとやま」で表彰する。
 ▼各事例の概要には、獣害対策や高齢者の困りごと解決、地域の食文化継承やブランド化、買い物弱者対策などによる暮らしの質向上など多様な活動が挙がる。少子高齢化と人口減少が進む過疎地域では、そもそも活動を担う人材の確保が難しいはず。しかし、移住者や地域外の人材の協力を得たり、情報通信技術(ICT)を活用したりと地域の実情に応じた工夫が読み取れた。
 ▼全国過疎地域連盟によると、過疎法の要件に該当する過疎市町村数は885で全国市町村数の51%に当たる。人口の割合は9%余に過ぎないが、面積は約6割を占め、大部分は農山漁村地域となっている。特に中山間や山間地域では農林業の停滞に伴い商店や事業所なども閉鎖し、バスや鉄道の減便や廃止という悪循環に陥る例が多い。
 ▼過疎地域の森林や田畑の維持は、国土の保全や水源のかん養など多面的機能の発揮につながり、下流域で暮らす多くの国民に恩恵をもたらす。傾斜地では規模拡大による経営の効率化や省力化などのメリットも限定されるが、山並みの景観や渓流など人を呼び込む資源に恵まれた側面もある。そこに活路を見いだせないだろうか。