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防風林「国産ホタテの行く先は【2023年11月3週号】」

 ▼中国による日本産水産物の輸入停止で影響が懸念されていたホタテについて、ふるさと納税の返礼品寄付額が急増したと報じられた。ふるさと納税サイトの運営事業者によると、今年9月の寄付額が前月比で9倍超になったという。殺伐としたニュースが多い中、少しほっとした気持ちになれた。
 ▼農林水産省が公表した9月の輸出実績では、中国向けの水産物輸出額は昨年9月比9割減、53億円だったホタテ貝輸出額はゼロになった。ただ、中国の輸入停止と同時に10都県からの輸入を規制した香港へのホタテ輸出額は、昨年9月比で約5割増の17億円になった。急にホタテブームが起きたのでなければ、香港からどこかへ転送されていないか。
 ▼政府の輸出拡大実行戦略では、中国向けに安価に輸出されるホタテの多くは殻むき加工後に米国などに再輸出されている。産地の北海道、青森県は労働力が不足し、国内加工が困難なためだ。対応策では、省人化機器の導入で国内加工を増やし、高品質品の欧米向け輸出を増やすとしていた。
 ▼欧米向けの輸出は規格認証など課題も多いそうだが、一大輸出国でもある中国から離れる機会と捉えたい。安定出荷と手取りの確保を考えても体制の整備は急務だ。