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防風林「温暖化対策で結束すべき時なのに【2023年12月3週号】」

 ▼わが家の鉢植えのモミジがようやく紅葉した。今年は夏の尋常ではない暑さで根を傷めたか、葉先が枯れ、痛々しい。気象庁の生物季節観測情報では、東京のカエデの紅葉日(標本木の大部分が紅葉)は11月29日。平年比で1日、昨年比で3日遅い程度だった。しかし、北海道、東北では十数日も遅れている観測地点が多く、異常を実感する。
 ▼気象庁によると、今年は春(3~5月)、夏(6~8月)、秋(9~11月)と3季節連続で平均気温の高温の記録を更新した。要因の一つである日本近海の平均海面水温も夏以降2季節連続の記録更新という。この"海の温暖化"は、魚の生息域を大きく変えており、各地の名産魚種の漁獲量が激減して安定供給が難しくなるなど混乱が生じている。
 ▼国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)がアラブ首長国連邦のドバイで開かれている。産業革命以前と比べ平均気温上昇を2度以内に抑えるとしたパリ協定の目標達成に向け、成果を検証して推進策を協議し、気候危機への対応強化を目指す。ただ、12月1日の首脳級会合後も対策を加速する合意形成の着地点が見えない状況だ。
 ▼今年は北半球全体が高温熱波に覆われ、森林火災など災害も多発。国連のグテーレス事務総長は「地球沸騰化の時代が到来した」と早急な行動を訴えた。しかし、拡大する戦争・紛争の影響もあってか、関心も薄れているかのようだ。国際社会の結束が最も必要な時期であるはずなのに。