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カフェ、加工品、イチゴ狩り 魅力を多角的に提供【1月3週号 富山県】

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 【富山支局】小矢部市胡麻島にある株式会社宇川農産では、2020年にイチゴ栽培を開始。22年には、小矢部産のイチゴなどを扱う直売所・カフェ「おやべ しぇ・ここね」を開業した。栽培するイチゴは「心を込めて丁寧に」という意味を込め「おやべ いちここね」のブランド名で出荷している。イチゴはビニールハウス8棟で栽培。地面から1メートルほどの高さに、土の入った培地を設置して苗を植える高設養液栽培を採用した。灌水〈かんすい〉や養液はスマートフォンなどによる遠隔制御で与える。「紅ほっぺ」「やよいひめ」など5品種を栽培し、糖度は14~15度と高い。県内のイチゴ農家で初めてフリーズドライ(真空凍結乾燥)の設備を導入し、「ドライいちご」も販売する。同社の宇川純矢〈うかわ・じゅんや〉社長(52)は「農業は現状維持では難しい」と話す。管理費や肥料代が高騰し、極めつけはここ数年の気温の高さが課題だ。高温障害で炭疽〈たんそ〉病が発症し、収穫時期が遅れるなどの大きな問題に直結するが、宇川社長は苗の仕入れ先を変えるなどして臨機応変に対応するという。同社ではインスタグラム(写真共有サイト)での情報発信や夜間のイチゴ狩りを実施している。「都会にいけばいろいろあるが、田舎にはない。来てもらうには、ほかでは体験できないことをやって、差別化すること。楽しい経験の選択肢の一つになればいい」と宇川社長。同市内のこども園や保育所の計8カ所の年長児に、イチゴ狩りを体験してもらう取り組みも始めている。これまでは近くの保育所を招いていたが、市内全域の子どもたちにも楽しんでもらおうと企画した。宇川社長は「これからもたくさんのことにチャレンジし、おいしいイチゴを作っていきたい」と話した。

〈写真:店で今一番人気の「いちごみるくスムージー」とフリーズドライされた「ドライいちご」〉