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防風林「スマート農業の推進 技術を使うのか技術に使われるのか【2024年3月1週号】」

 ▼運転手不足による既存のバス路線の廃止や減便が報道されている。直接的には、4月から適用される運転手の時間外労働時間の上限規制などに伴う影響で、2024年問題といわれるもの。ただ、労力不足は国内の産業全体を覆っている。待遇改善とともに達成感など仕事の魅力向上も大切だろう。
 ▼厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、2070年の人口を8700万人と推計。20年の1億2615万人と比べ7割程度になると見通す。人口は第2次大戦後の1950年ごろと同程度だが、年齢構成が異なる。戦後は5%に満たなかった65歳以上の割合は、70年には4割近くになる。
 ▼食料・農業・農村基本法改正案の関連で国会に提出されるスマート農業技術活用促進法案について、農林水産省は、スマート農業技術の活用で生産性の高い食料供給体制の確立を目指すとする。スマート農業技術に合わせた生産方式への転換も促す考えだ。
 ▼背景には、基幹的農業従事者数が20年後に4分の1の30万人に減るとの危機感がある。事情は理解するが、「技術に合わせた生産方式への転換」に引っかかる。栽培など個々の工夫が生かせる魅力を伝えた方が、多くの65歳以上層の関心を引くのでは。