▼ミャンマー中部で発生した大地震の死者が3000人を超えた。同国政権は災害対応を優先するとして国軍に抵抗する少数民族武装勢力との停戦を発表。現地映像を見るだけでも内戦を続けている場合ではないことは明らかだ。被災者に必要な支援が届くよう、国際社会の協力も欠かせない。地震大国として多くの経験を持つ日本も積極的に支援したい。
▼大地震を巡っては、国内の防災対策の抜本強化も急務だ。政府は3月31日、南海トラフ巨大地震の新たな被害想定を公表。全国で最大29万8000人が亡くなり、最大235万棟の建物が被災、経済被害は292兆円に上るとする。今年1月には30年以内の発生確率が従来の「70~80%」から「80%程度」に引き上げられた。危機は近づいている。
▼自分に都合の悪い情報を避けたり、過去の経験などから事態を過小評価したりする認知の特性を心理学用語で「正常性バイアス」というそうだ。巨大地震はどこでも起きうる。自分や大切な人の命を守るために、平時から"もしもの備え"が大切だ。