▼気象庁は「気象百五十年史」を公表した。日本で気象業務が始まった明治8年6月から150年の記念史で、気象業務の変遷の記録などをまとめている。
▼本編は787頁で「略史」や「通史」を読むだけでも、地震や台風など災害と向き合い、観測強化や防災情報の改善に取り組んできたことが分かる。降水確率予報の開始は1980年、台風進路の予報円方式は82年の採用。2007年には緊急地震速報の運用が始まった。
▼より正確で分かりやすい防災情報は命を守る行動の前提となる。気候変動の激化で線状降水帯の発生や台風進路の予測精度向上は急務。大地震・噴火への警戒強化も欠かせない。一方、100%の予測精度は不可能であり、"ハズレ"を容認する社会が防災力向上を後押しする。
▼百五十年史は大正時代から親しまれていた新聞やラジオの天気予報が、太平洋戦争中は「軍事機密」として禁止された旨を紹介している。天気予報が得られる日常に感謝しつつ、今日も情報を確認する。