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防風林「国民が支えなくてどうする【2025年6月3週号】」

 ▼日本人におなじみのサンマにサケ、スルメイカがいずれ食べられなくなるのでは、と不安になる。6日公表の2024年度水産白書によると、これら3種の23年漁獲量は計10万7000トンで10年前の5分の1に激減。海面水温の上昇や海流の変化が魚介類の分布や資源量に影響を与えているという。

 ▼さらに心配なのが漁師の減少だ。23年の漁業就業者数は約12万1000人と10年前から3割減った。65歳以上が4割を占める中、気候変動による不漁や燃料費高騰などを受け、一部漁港では魚と漁師のどちらが先にいなくなるか、との声もあるそうだ。漁業大国としてかつて110%超を誇った日本の水産物自給率は54%に半減し、世界有数の水産物輸入国に変容している。

 ▼国内農業も同様の状況で、食料自給率の低迷は言わずもがな。不足分は輸入すればいいとの意見もあるが、世界人口の増加や気候変動の激化、地政学リスクの高まりなどを見れば、説得力はない。何より日本人の食を支えている日本の農民・漁民を国民が支えなくてどうする。