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防風林「新紙幣1年 アナログ体験で分かる価値【2025年7月2週号】」

 ▼「諭吉」から「栄一」に変わって1年。キャッシュレス化の波に乗り、現金を持ち歩くことが減ったとはいえ、どちらも手元に来れば気分は上がるし、離れる際は寂しくなる。
 ▼最近は子どもへのお小遣いを電子マネーで渡す親が増えているそうだ。○○ペイなどにチャージ(入金)することで、財布を持たせる必要がなく、使用履歴が把握できるのも安心という。ちなみに昨年のキャッシュレス決済比率は42.8%で、政府の25年4割目標を前倒しで達成。経済産業省は80%を目指し、環境整備を推進する方針だ。利便性などを踏まえれば、より現金を使わない時代が来るのは既定路線。
 ▼ただ、小遣いをひそかに好きなことに使った時の満足感や現金が支払った後の喪失感などを味わいながら青春時代を育った身からすると、デジタル画面の数字のやりとりだけで感謝の心や経済感覚は育まれるのだろうか、とも思う。「学問は一種の経験であり、経験はまた一種の学問である」は渋沢栄一の言葉。アナログ体験で分かる価値もきっと多い。