▼台湾で訪日旅行を自粛する動きが出ている。発端は7月5日に日本で大地震が起きるとのうわさ。日本の漫画家の予言に起因し、交流サイト(SNS)などで国内外に拡散。日本の気象庁長官が、現在の科学では地震の日時や場所の予知は不可能とし「デマ」と強調する事態に。
▼環境省が最新の気候変動の科学的根拠をまとめ、ホームページで公開を始めたのも、デマの拡散防止が狙い。ネット上で「温暖化は人間活動のせいではない」など科学的知見を無視する情報があふれている現状を重く見た。特にここ半年で投稿が急増。温暖化対策に否定的なトランプ米政権の影響を指摘する声もある。
▼総務省の調査では、SNSの偽・誤情報を正しいと誤認した人は4割を超え、4人に1人が家族や友人などに拡散していた。ただ、拡散理由は「驚きの内容だった」「他人にも有益と思った」などで悪意はない。
▼情報過多の時代。近年は人工知能(AI)なども駆使し、偽情報を信じ込ませようとする例もある。真偽を見極める力が一層重要になっている。