▼「大正七年(一九一八年)、米価が急に上がり、半年で一・七倍になった」。米騒動発祥の地、富山県魚津市内の展示パネルはこの一文から始まる。
▼同年7月23日に起こった"魚津の米騒動"は、米価高騰に苦しむ主婦らが魚津沖に停泊中の輸送船への米の積み込みを阻止。「話し合いで収まった」が、新聞で報じられると各地で騒動が起こり、日本近代史最初の「米騒動」となった。
▼急騰要因は、都市人口の増加による需要増やシベリア出兵に伴う買い付け、一部商人による買い占め、とある。労働者の月給が18~25円の時代に、米1石(約150キロ)40円を超えたのだから国民の生活苦は想像に難くない。一方、急騰前の米価が月給並みなのにも驚く。
▼現下の米騒動も歴史に残る出来事だ。ただ、今回は長らく低米価にあぐらをかいてきた状況が問題の根底にある。今後の米政策は、将来の子どもたちが日々おいしい国産米を食べながら"令和の米騒動"を学べる時代をつくれるかの分岐点になる。