▼日米関税交渉の合意は口約束だった。日本政府は、唯一の要求である相互関税の税率引き下げの早期実行を優先し共同文書の作成を求めなかったという。
▼第1次トランプ政権時代に、自ら署名した日米貿易協定すら平然と無視する大統領との交渉であり、政府の対応はやむなしとの声がある。ただ、ことは国家間の交渉。しかも相手は、本来文書化された契約内容を基準とする契約社会の国だ。
▼すでに対米投資の解釈など両政府の合意内容の説明には違いが生じている。さらに米政府は四半期ごとに合意の履行を確認し、大統領の判断次第で税率の再引き上げを示唆。米主導の構図は続く。
▼先輩記者の言葉を借りるなら「相手が一方的に約束(協定)を破った上、いきなり100回殴ると脅されたので、何とか50回で許してもらったようなもの」。結局、痛い思いをすることに変わりはなく、今後、殴られない保障もない。こんな理不尽な話、"相手がトランプだから"で片付けていいわけがない。