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防風林「恐さ増すカミナリ【2025年8月3週号】」

 ▼ゴロゴロゴロー。その音が近くなるほど、恐怖を感じる「雷」。雲と雲や雲と地上との間に起こる放電現象で、日本では8月に最も多く発生する。厳重な警戒が必要だ。
 ▼雷を巡っては近年、調査・研究が進む。世界気象機関(WMO)は7月31日、観測史上の最長記録は米国で2017年に発生したメガフラッシュで829キロメートルと発表。直線距離で東京・札幌間とほぼ同じ。自然の力は想像をはるかに超える。
 ▼日本では「雷が多い年は豊作になる」旨の言い伝えが、種子や水への放電効果などを通じて実証されつつある。なお、雷の漢字にある「田」は、音を表す象形文字が由来だが、放つ光を「稲妻」と呼ぶのは〝雷光が稲を実らせる〟との信仰が語源。雷は夏の季語で、稲妻は秋の季語だ。
 ▼一方、気がかりなのは落雷数が近年増加傾向にあるとの指摘。気象の専門家などは、地上付近の高温で上昇気流が強まって雷雲が多発しているとみる。古来の人々は神様の仕業と考え「神鳴り」と呼んだ。今夏も記録的な猛暑。万雷は豊作の一因になるとしても、地球沸騰化を憂う天からの警告であるなら、恐怖心は強まるばかり。