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今週のヘッドライン: 2021年10月 1週号

トルコギキョウ 優れた技術で経営再興 高圧ナトリウムランプ使い花芽の枯死防ぐ(静岡市)(1面)【2021年10月1週号】

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 「今年の市場価格は過去5年平均と比べて下回る月はなく、120%の月もあった。質の高い花をしっかり栽培したい」と話すのは、静岡市葵区有永町でトルコギキョウ30アールをハウスで栽培する遠藤弥宏さん(64)。高圧ナトリウムランプを使用して天候不良時も花芽の枯死(ブラスチング)を防ぎ、切り花の安定出荷を実現。生産組合の中心メンバーとして、市場の信頼確保に貢献している。昨年は新型コロナウイルスの影響によるイベント中止などから収入が減少したが、今年はイベントも徐々に再開し、売り上げも持ち直し傾向だ。

(1面)

〈写真:70歳までには長男(左)に継承する予定だという静岡市葵区有永町の遠藤弥宏さん(右)〉

米国 原発事故から続く14県100品目の食品輸入規制を撤廃 農水省が発表(2面・総合)【2021年10月1週号】

 農林水産省は9月22日、東京電力福島第1原子力発電所の事故発生時から続いていた米国による日本産食品の輸入規制が撤廃されたと発表した。福島など14県の延べ100品目が同日から輸出可能となった。福島県産の米や原木シイタケなどの輸出再開が見込まれるとする。21日には欧州連合(EU)も原発事故を機に実施してきた輸入規制を10月10日から緩和すると発表した。栽培キノコなどは輸出に必要な放射性物質検査証明書などが不要になる。東日本大震災に伴う原発事故から10年が過ぎ、農畜産物などの食品流通では、高いレベルで安全性を確保する体制が構築されている。被災地域の振興へ、政府には輸入規制を継続している香港や中国、韓国などに対し、科学的根拠に基づき輸入規制の撤廃・緩和へ向けた働き掛けの強化が求められる。

(2面・総合)

国連食料システムサミット 日本 みどり戦略を発信(2面・総合)【2021年10月1週号】

 国連は9月23~24日、「国連食料システムサミット」をオンラインで開催し、150カ国以上の首脳・閣僚などが環境負荷の少ない持続可能な食料システム構築に向けた行動や考えを発表した。菅義偉首相は、技術革新によって農林水産業の脱炭素化などを進める「みどりの食料システム戦略」を通じて農林水産業の脱炭素化など、環境負荷の少ない持続可能な食料システムの構築を進めると表明した。

(2面・総合)

収入保険 大規模化、販路開拓など農家の挑戦を支える(3面・収入保険)【2021年10月1週号】

 収入保険の2021年加入件数は8月時点で5万8千経営体を超え、前年比1.6倍に増えた。豪雨や台風被害、コロナ禍による影響など農家の経営努力で避けられない収入減少を約9割まで補償。規模拡大や売り上げ増加傾向に対応する特例も設け、大規模化や新技術導入、販路拡大など農家の挑戦を支える。22年1月以降の保険契約を対象に、パソコンなどで手続きできるインターネット申請や自動継続特約が開始し、付加保険料(事務費)の割引など加入しやすい仕組みになっている。

(3面・収入保険)

漏生イネの混入防げ 地域、経営に合わせて技術選択(7面・営農技術・資材)【2021年10月1週号】

 飼料用米や稲発酵粗飼料(WCS)用稲を作付けた翌年、多収品種から主食用品種に切り替える場合、漏生イネの発生に注意してほしい。前作品種に由来する玄米が主食用米に混入すると検査等級が低下するほか、生育期の競合で収量減少を招き、経営に大打撃を与える。漏生イネは、飼料用米などの栽培期間中と収穫後、主食用米の作付け時の適切な対応で防除できる。地域や圃場、経営条件に応じて、対策を組み合わせることが肝要だ。

(7面・営農技術・資材)

高齢者の火災死を防ごう 住宅の防火対策 ―― 東京理科大学火災科学研究所教授の小林恭一さんに聞く(5面・すまいる)【2021年10月1週号】

 朝晩の涼しさが寒さに変わり、暖房器具で暖を取ろうと考える方も多いはず。秋から冬は空気が乾燥しやすく、火災が発生しやすくなる時期だ。東京理科大学火災科学研究所の小林恭一教授に、高齢者による住宅の防火対策について解説してもらった。

(5面・すまいる)

キャベツ安定生産 土壌管理が決め手【10月1週号 岩手県】

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 【岩手支局】一戸町奥中山でキャベツを栽培して5年目になる与羽敬央さん(31)。就農当初に1ヘクタールから始めたキャベツ栽培は4ヘクタールまで作付面積を拡大し、昨年は約138トンをJAへ出荷した。今年の冬場は、単価が高い「ちぢみコマツナ」とホウレンソウの栽培を計画。冬期間に安定した収入を得るため日々奮闘している。与羽さんは2016年に脱サラし就農。「実家で栽培していたレタスと菌床シイタケ以外の作物に挑戦したい」とキャベツの栽培を始めた。父・浩司さんや先輩農家から指導を受けた。「1年目は堆肥を使わずに栽培したが、育ちが悪く、根こぶ病にもなり、土壌管理の大切さを実感した」。17年からは、植物性の酵素堆肥と地元農家から譲り受けた牛ふんなどの有機肥料を使用し、収量増加につなげたという。「堆肥に有機肥料を混ぜたことで、根張りが良くなり、発育不良が減った。圃場によって土壌の状態が違うため、肥料の散布割合を変えている。最適な状態で毎年定植できるような土作りをしたい」。「普段は1人で作業するが、収穫期などの繁忙期にパートタイムで2人雇用する」と、年間を通しての作業効率化を考えている。収入源を増やすために、今冬はちぢみコマツナとホウレンソウの出荷を計画。9月上旬にハウス4棟に播種した。「ちぢみコマツナは、12月中旬から下旬にかけて販売単価が2倍高くなる。これからの季節は夜温が低下するため、ハウス内の温度低下に注意し、11月から出荷したい」。防除作業など丁寧な栽培管理を実践し、品質向上と安定出荷を目標にしている。与羽さんは「農業は自分の努力次第で結果が変わる。向上心を持って取り組みたい」と話す。

〈写真:「手をかけた分が結果につながるので農業は面白い」と与羽さん〉

収入保険・私の選択 すべてのリスクに備える【10月1週号 福井県】

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 【福井支局】南越前町で水稲8ヘクタール、大麦3ヘクタール、ソバ3ヘクタールを作付ける農事組合法人長沢えぇのうでは、異常気象などに備えるため収入保険に加入した。代表理事の藤原慎さん(52)に集落営農などについて聞いた。

◆     ◆     ◆



 私たちの住む南越前町長沢地区は小さい農家集落で、9戸すべてが農事組合法人の組合員です。農業は努力した分、結果が表れるので、草刈りをしてきれいになった圃場や、たわわに実った収穫物を見て、実感できるところが魅力だと感じています。しかし、組合員のほとんどが兼業農家で、そろって作業ができるのは週末が多く、天気の関係で適期の防除や刈り取りができなくなることも少なくありません。昨今の異常気象で収穫量が安定せず、不安要素の多い中で、すべてのリスクに備えるため、2019年に収入保険へ加入しました。昨年は8月中旬まで続いた長雨やその後の猛暑などで、ソバも大麦も不作となりました。収入保険に加入していたおかげで、機械維持の費用に充てることができ、とても助かりました。私たちの法人では、毎週水曜日に役員会を開催し、組合の運営や農業の話だけではなく、地区すべての課題を話し合っています。私は集落の中では若手ですが、区長を務める吉田正弘さん(60)、農家組合長の西川修司さん(51)と相談しながら運営しています。昨年は防除用にドローン(小型無人機)を導入し、省力化を進めています。これからも収入保険に加入し、地域全体を支える担い手・見守り人として頑張っていきたいです。

〈写真:法人の運営で協力し合う藤原さん(中央)、吉田さん(右)、西川さん〉

看板商品は「かぼっコリー」 安全・安心の少量多品目野菜【10月1週号 山口県】

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 【山口支局】「コリッ」とした歯応えが名前の由来という「かぼっコリー」は、手のひらサイズのカボチャ。皮から種まで丸ごと食べられる珍しい品種として人気を集めている。山口市下小鯖棯畑でかぼっコリーを栽培する里山オーガニック農園の園長・池田侯男さん(72)と松西照美さん(61)。「有機野菜を作りたい」という松西さんの熱意から2020年4月に農園を立ち上げた。80アールのうち14アールでかぼっコリーを栽培する。「父が早くに他界したことや、祖父母の病気、息子のアトピーを経験し、安全・安心な食を大切にしたいと考えるようになったんです。そのときに池田さんと『一緒にやってみよう』と意気投合して」と松西さん。熊本県で農業を営む知り合いにかぼっコリーを勧められ、栽培を始めた。種まきから収穫までは、主に池田さんが作業する。「除草剤を使わないため雑草の管理に手間を要します。畦に枯れ草を敷き詰めるなど工夫しています」と池田さん。松西さんは広報関係を担当する。「販路を確立するため、何か特徴のある野菜がいいなと。まずは珍しいかぼっコリーで販路を広め、ほかの野菜の販売につなげたいと思ったんです」と話す。現在はサツマイモやナスなど約60種類の少量多品目を栽培。主にSNS(会員制交流サイト)で宣伝し、「お野菜セット」として全国に販売する。「作ったものは残さず売り尽くす」をモットーに地域のイベントや直売所に出向くという。松西さんは「食に対する安全の必要性を発信していきたいです」と話す。

〈写真:かぼっコリーを手に池田さん(左)と松西さん。「松西さんはとても勉強熱心。お互い刺激し合いながら頑張りたいです」と池田さん〉

果樹の凍霜害対策にオイルヒーター復活【10月1週号 山形県】

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 【山形支局】南陽市宮崎で果樹を栽培する高橋善一さん(69)は、果樹の凍霜害対策として、50年ほど前に譲り受けた「リターンスタックオイルヒーター」の復活に励んでいる。今年、凍霜害でサクランボに大きな被害を受けた高橋さんは、新たな対策を検討した。散水氷結法や温風式防霜機などの方法がある中、費用や効果などを総合的に考えた結果、「燃料を燃やし、煙突から排出される熱で園地を温めるこのヒーターが一番良い」と復活に乗り出した。高橋さんが所有するヒーターは燃料タンクが壊れていたため、精密機械の設計や組み立てを手掛ける高畠町の「有限会社秀機」に修理を依頼。同社ではヒーターを実寸し、その仕組みを細かく調査して設計図を新たに作成した。ヒーターのタンクには燃料の投入口があり、3段階の空気調節が可能なふたを開けて着火する。煙突部分は直径10センチ、高さ100センチで、上下に開閉できるかさがあり、閉じると消火するという。さらに直径6センチ、高さ40センチのパイプが煙突とタンクをつなぎ、タンク内へ熱と空気を循環させる仕組みになっている。同社によると、商品化に向けてステンレス製の試作品を製造していて、使用燃料は従来の重油から灯油に代わるという。高橋さんは今年8月、自身のサクランボ園でヒーターの燃焼実験を農家仲間に紹介した。灯油10リットルを使用した結果、空気穴一つで8時間、二つで5時間、三つで3.5時間の燃焼時間を記録。高橋さんは「灯油15リットルだと、夜から翌朝まで燃焼できるのではないか」とみている。JA山形おきたま営農経済部園芸生産指導課では、商品化されれば販売を検討したいという。同課の渡部正志課長は「今後は県にも協力を依頼し、実証データを積み上げたい」と話している。

〈写真:農家仲間とヒーターの燃焼実験をする高橋さん(右)〉

防風林「地域のさまざまな拠点に発展する「道の駅」【2021年10月1週号】」

 ▼新型コロナウイルス対策で発令されていた緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が9月30日をもって解除された。新規の感染者数が急速に減少しているとはいえ、収束が期待できる状況とは言い難い。3密回避や手洗いうがいなど基本対策を継続しつつ、日常生活を取り戻していかなければならないだろう。
 ▼とはいえ、秋は収穫や行楽のシーズンだ。コロナ禍で来場者数や売り上げが低迷した道の駅などの直売所では、行楽客の来場に期待しているはず。キャッシュレス決済やインターネットを利用した販売、イベント開催などコロナ禍を機に広がった取り組みも併用し、関係者の安全を確保してほしい。
 ▼道の駅は、6月現在で全国に1193駅が開設されている。1993年の制度創設から四半世紀を過ぎ、2020年から第3ステージとして「地方創生・観光を加速する拠点」づくりを推進する。目標の一つは、災害時に避難所や支援物資の集配基地など多様な役割を担う地域の防災拠点化だ。
 ▼6月には、都道府県の地域防災計画などに位置づけ、機能強化する「防災道の駅」に39駅を初めて選定した。25年に500駅選定を目指す。多くの命を守るには、もっと加速してよいくらいだ。

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