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今週のヘッドライン: 2023年08月 4週号

相次ぐ台風・大雨 各地で被害広がる(1面)【2023年8月4週号】

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 6月下旬以降の梅雨前線の活動に加え、相次いで接近、上陸した台風6号、7号の影響もあって前線の活動が活発になり、各地で線状降水帯が発生するなど広い範囲で大雨に見舞われた。河川の氾濫や決壊、土砂崩れなど大きな被害となっている。農林関係の被害も広い範囲で発生した。8月中旬までの農業関係の被害状況などをまとめる。

(1面)

〈写真上:園地が崩れた果樹園(鳥取県佐治町、8月23日撮影・NOSAI鳥取提供)〉
〈写真下:流木や土砂に埋もれたままの水田(秋田県五城目町、8月23日撮影・NOSAI秋田提供)〉

農林水産関係予算概算要求2兆7209億円 食料安定供給へ構造転換(2面・総合)【2023年8月4週号】

 農林水産省は24日、2024年度農林水産関係予算概算要求案を自民党の農林関係合同会議に示し了承された。総額は23年度当初予算比20.0%増の2兆7209億円で、海外依存度の高い麦・大豆などの生産・需要の拡大や、堆肥など国内資源の肥料利用拡大といった食料の安定供給確保に向けた構造転換に重点配分した。適正な価格形成では、価格転嫁の実態調査や消費者などの理解醸成活動を強化する。多様な農業人材の育成・確保では、新規就農者の育成支援や研修機会の提供などを進める。「収入保険制度の実施」は93億円増の399億円、「農業共済事業の実施」は39億円増の所要額840億円を計上し、円滑な事業運営に必要として増額を要求する。

(2面・総合)

9-10月は秋の農作業安全確認運動 農機の転落・転倒防止(2面・総合)【2023年8月4週号】

 農林水産省は、9月1日から2023年秋の農作業安全確認運動を展開する。重点推進テーマは「徹底しよう!農業機械の転落・転倒対策」。今春の運動に引き続き農業機械の転落・転倒が農作業死亡事故の約3割を占める現状を踏まえ、シートベルトやヘルメットの装着などを呼びかける農業者への声かけ運動や、農作業安全指導者による研修の実施などを重点的に推進する。期間は10月31日まで。

(2面・総合)

ハウス復旧、がれき撤去 仲間たちと支え合って(3面・NOSAI)【2023年8月4週号】

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 「今は、泥が入ってしまったハウスの土壌消毒に追われている。この暑さの中での作業は大変」と話すのは、福岡県久留米市北野町の佐藤弘也さん(31)。ハウス15棟60アールでチンゲンサイを周年栽培するほか、水稲12ヘクタールとその裏作でホウレンソウとブロッコリーを手がける。線状降水帯が九州北部に発生し、記録的な大雨となった7月10日、大雨特別警報が発表された久留米市では、筑後川に注ぐ中小河川があふれて広範囲が冠水。複数の家屋を押し流す土石流も発生した。現在も爪痕が生々しく残る中、営農継続に力を注いでいる。

(3面・NOSAI)

〈写真上:冠水したハウスで、わずかに残ったチンゲンサイを手に佐藤さん。「出荷はできる状態ではない」と話す〉
〈写真下:泥が流入した水田で「がれきが入っていないのは幸いだった」と田中さん〉

雑穀キヌア 特産化へ町挙げて(4面・流通)【2023年8月4週号】

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 北海道剣淵町では、高い栄養価で注目されている南米原産の雑穀・キヌアを産地化し「けんぶち産キヌア」として特産化を進めている。町内の8経営体で組織するけんぶち産キヌア生産普及組合が今年は20ヘクタールを栽培。ブランディングと販売を一手に担う株式会社けんぶちVIVAマルシェが全量を買い取る。袋詰めのほか、加熱不要で手軽に食べられる「焙煎(ばいせん)キヌア」を商品化。規格外はキヌア茶やパウダーなどに加工する。7月には町と商工会、生産者でけんぶち産キヌア推進委員会を結成。今年は全国キヌアサミットを開き、魅力発信に努めている。

(4面・流通)

〈写真:キヌアの生育を確認するけんぶち産キヌア生産普及組合のメンバー。左から2人目が高橋さん〉

簡易に冷却効果 ハウス防虫ネットにミスト(7面・営農技術・資材)【2023年8月4週号】

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 東京都農林総合研究センターは、小規模な園芸施設向けに、灌水〈かんすい〉チューブによる簡易な冷房技術を開発した。施設側面の防虫ネットに大粒のミストを噴霧し、水が蒸発するときに熱を奪う気化熱を利用。水蒸気は妻面の換気扇などで排出する。条件が合えば施設内の気温を2~3度下げられ、遮光資材や環境制御を組み合わせれば4度以上の冷却効果が見込める。導入コストが抑えられ、猛暑下での野菜の収量安定や作期拡大に期待されている。

(7面・営農技術・資材)

〈写真:試験で使っているノズルを指す中村主任研究員。「防虫ネットの内側に設置して、外向きに噴霧しても良い」と説明する〉

ドローン活用で効率化推進 スマートアシスト機能付き乾燥機も導入へ【8月4週号 岡山県】

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 【岡山支局】「農作業にドローン(小型無人機)を活用して効率化を図りたい」と話すのは、真庭市上河内の白石壽平〈しらいし・じゅへい〉さん(62)。37歳で就農し、当初は水稲50アールの作付けから始めた。作付面積を徐々に増やし、58歳で水稲と大豆合わせて5.6ヘクタールに拡大。現在は5ヘクタールで栽培するほか、高齢化で農業ができない人が地域に増えたことから、稲刈りを7ヘクタール受託する。多様な品種を作付ける壽平さんは、田植え期や収穫期は1カ月半ほど多忙な毎日を送る。そのため、作業の効率化を見据え、スマート農業への挑戦を考えた。スマート農業への入り口として着目したのが農業用ドローンの導入。今までは1ヘクタールの薬剤散布に1日かかっていたが、ドローンであれば準備を含めても15分で作業が終わる。大豆の防除にも使用するなど、活用の幅が広いことも魅力だ。2023年2月にDJI製の農業用ドローンを購入。操縦には「農業ドローン技能認定証明証」を取得する必要がある。壽平さんは妻の香代子〈かよこ〉さん(53)と指定の教習施設で5日間程度の教習を受け、同年に証明証を取得した。飛行前には飛行申請、飛行後には日報の提出が必要だが、「飛行申請や日報の提出も、作業の効率化を考えると苦にならない」と壽平さん。今後はスマートアシスト機能付き乾燥機も導入する予定だ。作物の乾燥状態や水分量など、稼働状況が可視化できるため、効率性と品質の向上につながる。一方で、トラクターなどの買い替えは予定していないという。「田植機やトラクターもスマート農業機械を導入すればさらに効率化を図ることはできるが、代かきや田植えは自身でハンドルを握って、正確かつ丁寧なものにしたい」という強い思いがある。ドローンを使用して薬剤散布し、重労働をコンパクトにすることで生まれる時間を、自身が手間をかけたい作業時間に充て、スマート農業での効率化と自身の譲れない思いの両立を目指す。

〈写真:ドローンでの薬剤散布作業(7月)〉

収入保険・私の選択 経営多角化に安心して挑戦【8月4週号 香川県】

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香川県まんのう町  吉川 直行〈よしかわ・なおゆき〉さん(44)
(吉川の吉は「土に口」)
▽ブロッコリー3.4ヘクタール、スイートコーン30アール、ナス20アール、水稲82アール、飼料用コーン1.9ヘクタール、WCS(発酵粗飼料)用稲48アール

 露地野菜をメインで栽培する私にとって、一番の不安要素は天候です。近年、ゲリラ豪雨など異常気象での被害は予想以上で、排水などの対策を十分にしても限界があります。収入保険の説明は、2018年にNOSAI青年部で受け、気象災害だけではなく、病気やけがで収穫ができない場合の損失なども補償してくれる、今までにない保険だと感じました。早速、税務書類の販売金額を基に、基準収入金額を職員に試算してもらいました。当初は就農して間もなく、規模拡大特例を適用しても納得いく補償金額に至らないため、加入を見送っていました。青色申告実績が3年以上でき、販売金額が伸び農業収入が安定した21年、その年選択できる最高補償で加入しました。まさにその年、つなぎ資金を申請することに――。原因は、ナスの市場価格の低下と、スイートコーンが霜の影響で生育不良になったことです。申請をして、自分が思っていたよりも早くつなぎ資金が振り込まれました。年末年始に控えていた農薬代や肥料代、苗代の支払いに充てることができ、非常に助かりました。経営の多角化に安心して挑戦できるのは、収入保険で一定の収入を確保できるからです。私が作付けする地区は町内でも特に農業の担い手が少なく、受託面積は年々増えています。耕作放棄地解消と経営安定のため、露地野菜に加え、21年から町内の牧場から依頼を受けた飼料用コーン、23年から町が主導するWCS用稲に取り組んでいます。作業は両親と従業員のほか、障害者施設に週1回依頼しています。雇用の充実は必須で、収入がなくても給料は支払わなくてはなりません。収入保険で収入安定が図れるので、作業を細分化し働きやすい環境を整え、さらに農福連携を進めていきたいです。(香川支局)

全自動給水装置水張り名人 水位を感知、水門を開閉【8月4週号 山口県】

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 【山口支局】「この装置があれば、わざわざ田へ行かなくても水管理ができます」と話すのは、「全自動給水装置水張り名人」を自作した下関市の上野富士男さん(73)。「朝晩の水管理の時間を減らし、少しでも稲作を楽にしたい」と全自動給水装置を考案した。製作期間は約1週間で、軽トラックのバッテリーや電気柵のソーラーパネルなどを再利用している。「用水路に常に水が流れていれば、どの田でも利用できますよ」と上野さん。水門近くの田に、満水と低水を感知するための支柱を設置し、その上下に水位を感知するための浮きを付けた。水位が下がると浮きも下がり、自動で水門が開いて入水が始まる。水がたまると浮きが浮上し、水門が閉じる仕組みだ。上野さんは田植えの前に種もみを酸化鉄でコーティングし直播きする。育苗や苗の運搬にかかる時間と人件費を削減するほか、鳥害や病害の予防になっているという。農作業を工夫する上野さんは「時間も手間も省くことのできるアイデアを取り入れ、効率的に稲作を楽しんでいきたい」と意欲を見せる。

〈写真:水張り名人の本体を前に上野さん。「仕組みは単純なので故障箇所が分かりやすいです。装置に興味がある方はお問い合わせください」と話す〉

果樹・桑栽培、養蜂も 6次産業化で経営安定へ【8月4週号 滋賀県】

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 【滋賀支局】果樹と桑を栽培し養蜂にも取り組む野洲市大篠原の農業生産法人「株式会社南農園(南桂子代表=44歳)」は、6次産業化で経営の安定を図る。2014年に自宅の隣に加工場を備えた直売所を開設した。自家産果実と自家製ジャム、ブルーベリー酢、蜂蜜、桑茶などを販売する。南さんは「傷などがあって青果販売に向かない果物を無駄にしないように、自社で加工している」と話す。栽培面では効率化を図るため、自動草刈機を活用するほか、ナシはジョイント栽培を導入した。南さんは「農園で働く人は農業が好きな人ばかり。従業員が安定して給料をもらって働くことができる会社にしたい」と将来を見据える。
 ▽ナシ「豊水」「あきづき」など、ブドウ「シャインマスカット」「ブラックオリンピア」など、柿、ブルーベリー、リンゴ、サクランボ、桑など計182.9アール

〈写真:ナシの袋掛け作業に励む南さん〉

防風林「あらためて知るご飯のおいしさ【2023年8月4週号】」

 ▼内釜のコーティングがかなり剥がれてきたので、新しい炊飯器を購入した。家電量販店では1万円前後から10万円を超える高級品まで多くの商品が並び、炊き方や内釜の特徴が宣伝される。見た目では違いが分からず、店員に説明を乞い、迷った挙げ句、機能も財布の負担もまずまずの炊飯器を選んだ。
 ▼ご飯を炊くと古い炊飯器に比べ明らかにつぶだちがよく、おいしく感じた。家族も同意見で、メーカーの違いよりも炊飯器を長く使ううちに炊飯技術が相当進歩したのではないかと推測している。毎日食べるご飯のおいしさを追求する人なら、10万円を超える炊飯器も安い買い物と思うのかも。年間10万トンずつ主食用米の需要が減少しているとはいえ、一定のご飯好きはいるのだ。
 ▼農研機構と伊藤忠食糧は、「ふっくら」「もちもち」などご飯のおいしさを表す約100の言葉をリスト化したと発表した。今後、言葉の定義や例示を明確にして内容を充実させ、来年度の完成を予定する。米飯の品質を詳細に評価する際や品種・炊飯方法などおいしさの違いを具体的に伝える際の辞書的な活用を想定するそうだ。
 ▼米飯のおいしさは、訓練をした評価者が食べて判定する官能評価が基本だ。ただ、昨今は米の品種や米飯の種類が増えて評価の要求も多様化し、従来の言葉や方法では評価しきれないとの指摘もあるという。明確な評価で関心を喚起し、炊いたご飯のおいしさを知れば、もっと食べたくなると思うのだが。

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