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今週のヘッドライン: 2025年04月 1週号

田んぼの価値 酒造りで高める(1面)【2025年4月1週号】

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 「酒造りを通じて、田んぼの価値を高めたい」と話すのは、三重県大台町柳原の酒蔵、元坂酒造株式会社の専務取締役・元坂新平さん(37)。自社で復活させた酒米「伊勢錦」を使い、新たな日本酒のブランド「KINO/帰農」を展開する。伊勢錦は、自社で管理する水田5ヘクタールで新平さん自ら栽培するほか、契約農家からも買い取る。休耕田が増加する中、水田を水田として維持できる仕組みをつくり、地域の原風景を守っていきたい考えだ。

(1面)

〈写真:蔵の前に広がる水田で元坂新平さん〉

新たな基本計画を答申 構造転換を集中的に推進(1面)【2025年4月1週号】

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 農林水産省食料・農業・農村政策審議会(食農審)は3月27日、新たな食料・農業・農村基本計画をとりまとめ、江藤拓農相へ答申した。
 改正食料・農業・農村基本法が掲げる食料安全保障などの基本理念の実現に向け、計画期間を5年間とし、初動5年間で農業の構造転換を集中的に推進する。2030年度の目標として食料自給率を供給熱量ベースで現状(23年度)の38%から45%に引き上げるとした。さらに、担い手や農地の確保、輸出促進などの目標も掲げ、施策ごとの達成状況を評価するKPI(重要業績評価指標)も設定し、年に1回検証して必要に応じ施策を見直すとした。

(1面)

〈写真:左から食農審企画部会・中嶋康博部会長、全農審・大橋弘会長、江藤農相〉

米粉振興へ好循環 米穀の新用途利用基本方針案(2面・総合)【2025年4月1週号】

 農林水産省は3月26日、食料・農業・農村政策審議会食糧部会を開き、新たな米穀の新用途への利用の促進に関する基本方針案を示した。特に需要拡大が見込まれる米粉用米の安定供給の重要性を明記。新商品開発による需要創出とともに、多収品種の開発・普及などを通じてコスト低減を進め、さらなる需要拡大を図る「好循環を形成する」とした。米粉用米の需給は近年、増加する需要に生産側の対応が遅れ、2025年度末在庫量は1万3千トンと前年度に比べ3分の1に急減する見通し。実需からは安定生産・調達への懸念の声も上がる。持続可能な水田営農の確立には米粉を含めた米の生産・利用の拡大が欠かせない。米粉市場の安定拡大に向けた対応が求められる。

(2面・総合)

500ヘクタールフル活用 米・麦・大豆・餌米など2年4作(3面・収入保険)【2025年4月1週号】

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 13の集落営農組織を統合した熊本県大津町の集落営農法人ネットワーク大津株式会社(徳永浩二代表取締役社長、65歳)は、県内最大規模の経営面積を持ち、大麦や大豆、小麦、飼料用米などを輪作する。新品種やスマート農業の導入など生産性向上に取り組み、地域の中心的な経営体として地域農業を支えている。気象災害などの備えとして収入保険に加入し、地域農業の維持・振興と農村コミュニティーの再構築に一層力を入れる。

(3面・収入保険)

〈写真:小麦の生育を確認する徳永社長〉

安全性確保を前提に 食べ残し持ち帰りのガイドライン(5面・すまいる)【2025年4月1週号】

 食品ロス削減に向け、飲食店で食べ残しを持ち帰ることが有効だが、食中毒などが発生すると飲食店側の責任が問われる可能性があり、積極的に取り組めないのが実情だ。事業者と消費者の双方が安心して食べ残しの持ち帰りを促進できるよう消費者庁と厚生労働省がまとめた「食べ残し持ち帰り促進ガイドライン」を紹介する。

(5面・すまいる)

小麦 高収量へ初期生育を確保(6面・営農技術・資材)【2025年4月1週号】

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 愛媛県西予市 河野昌博さん
 水田15ヘクタールで水稲・小麦・大麦・大豆を輪作する愛媛県西予市の河野昌博さん(47)は、4ヘクタール栽培する小麦「チクゴイズミ」で初期生育の確保に努め、地域平均(10アール当たり420キロ前後)よりも高い収量を狙う。鶏ふんを活用して肥料代を抑えつつ、茎数や葉色などに応じて麦踏み2~3回や硫安追肥1~2回などを徹底する。1人で計25ヘクタールを管理できる体制を目指しており、作業ごとに計4台のトラクターを使い分けて効率化につなげる。

(6面・営農技術・資材)

〈写真:葉色計で小麦の葉を計測する河野昌博さん〉

イチゴ「種子繁殖型」品種/労力軽減 効率化へ【新潟県・4月1週号】

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 【新潟支局】新潟市西蒲区巻甲の「グリーンファーム北越株式会社」では現在、ハウス2棟でイチゴを栽培。同社は、農業資材の販売などを手がける「北越農事株式会社」のグループ会社として2018年に設立された農業法人だ。「見せる農業」を目的として新技術や新品種の導入、営農支援を積極的に行い、日々、農家に新たな提案をしている。
 現在、新潟県産ブランド「越後姫」の出荷が盛んなグリーンファーム北越では、その他に比較的新しい品種「よつぼし」「すず」「はるひ」を栽培・出荷している。これらの品種は「種子繁殖型」といわれる珍しいタイプだ。一般的なイチゴは、ランナーといわれる親株から伸びる子苗を使って繁殖させるが、種子繁殖型は種子を使って繁殖させる。
 種子繁殖型のメリットは苗管理の期間を大幅に短縮できるため、作業負担が軽減される点にあるという。

〈写真:「品種によって味が違うので、ぜひ見に来てください」と加藤輝(あきら)取締役(37)〉


シャインマスカットをレーズンに【山梨県・4月1週号】

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 【山梨支局】「レーズンが好きでブドウ『シャインマスカット』で作ったらおいしそうだと思った」と話すのは市川三郷町の内藤彰(ないとうあきら)さん(65)。圃場20アールでシャインマスカットとブドウ「藤稔」の栽培に取り組む。糖度が18度に届かなかったシャインマスカットをレーズンに加工し、販売する。

〈写真:セミドライシャインマスカット(2024年産:40グラム入り税込み750円)を手に内藤さん。収穫後の枝に残っていた乾いたブドウがおいしかったことから開発に至った〉

ドライフルーツ/柿やイチジクなど手軽に食べて【山形県・4月1週号】

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 【山形支局】鶴岡市茅原町(ちわらまち)の梅木由紀さん(74)と夫の力さん(76)は、柿やイチジクなどの果樹を栽培しながら、収穫した果物をドライフルーツに加工して販売している。

〈写真:「農業を楽しみ、自給自足を目指している」と由紀さん〉

規格外野菜を総菜・弁当に活用【福島県・4月1週号】

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 【福島支局】季節の野菜を栽培する飯舘村の「ゆかり農園(代表・木幡百香里〈こわたゆかり〉さん、50歳)では、食品ロス削減のため規格外の野菜を使用した弁当や総菜を製造・販売している。将来は弁当の配達を視野に、住民の見守りを目指す。

〈写真:「野菜が『おいしい』と言ってもらえることが何よりのやりがい」と作業に励む木幡さん〉

防風林「写真コンテストはほぼ半世紀【2025年4月1週号】」

 ▼農業共済新聞主催の「新・日本の農村」写真コンテストは、今回で第49回となった。第1回の入選者発表は1976(昭和51)年の5月3週号だ。何と当時の最高賞である金賞と次点の銀賞は「該当者なし」。縮刷版を確認すると第2回も金賞、銀賞は「該当なし」、第3回の入選者掲載号は見つからず、第4回に新設した「最優秀賞」は該当なしで、金賞3点など各賞が選ばれていた。
 ▼数回分の上位入賞作品には「米価要求大会で」「村のゲートボール」など当時ならではの題材のほか、「刈り入れの日」「たばこどき」など変わらない作業や日常の様子もある。農家の庭先を歩く角隠しと打ち掛け姿の女性を写した「嫁入り」など昨今は見かけない懐かしい情景を捉えた写真もある。
 ▼本コンテストは、現代的な農業・農村や農民の姿をテーマとしてきた。上位受賞作の該当なしは、優れた作品を集めたいという当時の担当者たちの気概の表れだろうか。
 ▼作業に追われて余裕がないと言われそうだが、〝現代〟を記録することの意義は大きい。農家の皆さんもぜひご応募を。

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