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今週のヘッドライン: 2025年04月 3週号

農福連携 見える化で分かりやすく(1面)【2025年4月3週号】

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 「農業は、各自の特性に応じて仕事を割り振れる面が大きい。成功体験を多く積んでほしい」と話すのは、宮崎市大工で障害者や刑務所出所者の就労と生活の支援に取り組む一般社団法人STEP UP(ステップアップ)代表の堀川佳恵さん(50)。水稲やズッキーニなどを栽培する株式会社CoCoRo(こころ)ファーム(西都市新町)代表も務め、取引先の店舗ごとに資材の色を統一するなど誰もが分かりやすい作業環境づくりに注力。ノウフクJAS認証を取得し、販路を広げてきた。2024年は3人が一般企業に就職し、成果を上げている。

(1面)

〈写真:ズッキーニのへたを切って選別する堀川さん(右)と利用者〉

備蓄米の追加放出を指示 夏まで毎月売り渡しへ(1面)【2025年4月3週号】

 石破茂首相は9日、江藤拓農相に政府備蓄米の追加販売を指示した。端境期となる7月まで毎月売り渡しを実施する。すでに2回の入札を行い、約21万トンを販売したものの、流通における不足感解消には至っておらず、米価の高騰・高止まりが続く中、さらなる売り渡しを決断した。3回目の入札は今月21日の週に10万トンを対象に実施する。夏に向けて、主食用米の需給動向や価格推移が注目される。

(1面)

米国「追加関税」発動 日本は当面一律「10%」(2面・総合)【2025年4月3週号】

 米国は9日、日本を含む貿易相手国・地域の関税率などに応じて自国の関税を引き上げる「相互関税」の上乗せ分を発動した。トランプ米大統領は同日、一部の国を除き上乗せ分の90日間の停止を表明したものの、5日に発動された一律10%の関税は維持。日本産品も10%の追加関税が適用される。米国は、世界最大の日本産農林水産物・食品の輸出先国であり、国内輸出産地などでは追加関税の影響に不安感が広がっている。政府は総合対策本部を設置。農林水産省は対策チームを立ち上げた。国内農業への影響を精査・分析するとともに、現場の実情に応じた必要な支援を講じる必要がある。トランプ政権が求める「ディール(取引)」への毅然(きぜん)とした対応も求められる。

(2面・総合)

大豆共済に加入を 全相殺方式で万全の備え(3面・農業保険)【2025年4月3週号】

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 大豆作は米などに比べ気象条件の影響を受けやすく、特に水田転作としての栽培が中心となる都府県では、播種適期が梅雨と重なり、湿害による発芽不良などを起こしやすい。さらに、近年は梅雨時期の大雨による被害も多発しており、収入保険または大豆共済への加入が欠かせない。大豆共済の仕組みについて、稲穂ちゃんがNOSAI職員のみのるさんに聞いた。

(3面・農業保険)

〈写真:豪雨で土砂が流入し、株が枯れて壊滅的な被害を受けた大豆圃場〉

命守る備蓄品 災害時の在宅避難に備えよう(5面・すまいる)【2025年4月3週号】

 近年、全国各地で自然災害が頻発する中、大地震や気候変動に伴う豪雨災害などへの"備え"の強化が重要となっている。特にこれらの大規模な災害が起こると、ライフラインが止まる可能性が高く、在宅避難を想定し、日ごろから飲料水や非常食などの備蓄が大切だ。急な避難に備え、非常用の持ち出し品をリュックサックや収納ケースなどに詰めておくことも重要となる。政府公表資料などから家庭で用意しておきたい備蓄品や非常時の持ち出し品を紹介する。

(5面・すまいる)

水稲の高温対策 農水省が適応策をまとめ(7面・営農技術・資材)【2025年4月3週号】

 農林水産省はこのほど、昨夏の記録的な高温下で効果のあった農作物栽培の適応策などをまとめた報告書を公表した。各都道府県への聞き取り結果を整理したもので、水稲で最も効果が高かった対策は「高温耐性品種の導入」で関東から九州の12県が挙げた。次いで「水管理の徹底」が9県、「施肥管理の徹底」が8県となった。気象庁は、今夏も平均気温は全国的に高くなると予報している。天候推移を見極めながら、早め早めの対策実施につなげたい。

(7面・営農技術・資材)

「ふるさとの田園風景」 農の再生に奮闘【福島県・4月3週号】

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 【福島支局】東日本大震災後に「ふるさとの原風景を取り戻したい」と、試験栽培などを経て2018年に水稲栽培を本格的に再開させた富岡町の「ふるさと生産組合(三瓶和弘組合長=67歳、組合員11人)」。避難先から町に通いながら農作業に取り組み、町の基幹産業だった農業の再生に奮闘している。

〈写真:ドローンでの防除作業〉

ハウスの環境監視に自作システム【埼玉県・4月3週号】

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 【埼玉支局】深谷市の鹿沼光誠(かぬまこうせい)さん(33)は両親と共に、ハウス15アールでキュウリ、露地1.5ヘクタールでブロッコリーを栽培する。2024年11月に就農した。「今作は猛暑の影響でブロッコリーの収穫開始時期が早まり、計画通りに出荷できませんでした。想定外の事態に遭遇しても柔軟に対応できるよう成長していきたい」と話す。
 収穫物はJAふかやに全量出荷。出荷規格に則すことを最重視し、高品質な作物を安定供給できるよう努める。
 25年作のキュウリ栽培に向け、ハウスに自作の環境監視システムを設置した。温湿度や日射量、土壌水分量など8種類ほどのデータを計測し、外部記憶装置に蓄積する。各データはパソコンやハウス内のモニターから確認できる。農研機構が開発し、ホームページ(HP)上で公開している『安価かつ簡便にハウスの遠隔監視に使えるIoT機器「通い農業支援システム」 製作マニュアル』をはじめ、ウェブ上で無料公開されている複数の技術手引書を参考に製作した。計器や通信機器を個別に購入し、鹿沼さん自身で組み立てやプログラミングを行った。
 2月下旬のキュウリ定植から、本格的に運用を開始。想定通りに稼働しており、順調なスタートを切った。巡回作業の省力化に役立てるほか、両親との農業経験差を埋めるためのツールとして活用していく。

〈写真:ブロッコリーの出荷作業をする鹿沼さん。経営継承を目指す〉

加温サクランボ 早期出荷、高温リスク回避に【山形県・4月3週号】

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 【山形支局】「今年は大雪でビニールの被覆作業が遅れたものの、開花は例年通りで順調に推移している」と話す東根市神町の原田新太郎さん(45)は、2000年代初頭からサクランボの加温栽培に取り組んでいる。

〈写真:5月中旬の出荷に向け、授粉作業を行う原田さん〉

アスパラ高畝栽培/除草や収穫の負担軽減【秋田県・4月3週号】

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 【秋田支局】潟上市天王の小野成貴(せいき)さん(37)は、ハウス3棟約264平方メートルでアスパラガスを栽培する。露地でネギ50アールも手がけ、JAあきた湖東や秋田市内の飲食店へ出荷している。就農2年目を迎え「作業効率を第一に考えた営農を目指す」と話す。
 小野さんはコロナ禍を機に帰郷。未来農業のフロンティア育成研修を2年間受講し就農した。農機具販売業者勤務の経験を生かし、機械化できる品目を選定したという。
 アスパラは土を枠板で固定し畝を高くする「枠板式高畝栽培」を導入。60センチ客土し、除草や収穫の際の負担軽減につながった。水はけが良くなり、十分な根域の確保を実現。畝幅を2メートル設け、大型機械が入れるよう工夫した。

〈写真:小野さんは身長190センチで体への負担軽減を実現〉

ゴマ 市販品より香り良く【石川県・4月3週号】

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 【石川支局】「市販のゴマより香りが良いと好評です」と話すのは、白山市松本町の松田健二(まつだけんじ)さん(74)。水稲60アールを作付けしながら、5年前からゴマ栽培に取り組む。ゴマは白と金、黒の3種類を合計約4キロ収穫し、直売所に出荷している。

〈写真:「生ゴマで販売しているので、フライパンで1分ほどいってください」と松田さん〉

防風林「混迷・分断の回避へ連携・協力を【2025年4月3週号】」

 ▼今年は第二次大戦終結から80年。終戦の翌1946年6月14日生まれの米国第47代大統領が発動した「相互関税」は、世界の経済や人々の暮らしに大きな混乱・影響を与えている。自由貿易の旗振り役を担い、戦後の世界経済をけん引してきた米国は、自らが主導してきた自由貿易体制から離脱し、ディールと銘打って日本など同盟国を含む世界各国に貿易戦争を仕掛ける国へと変貌した。
 ▼ただ、グローバル化が進む中、世界一の経済大国といえども国内だけでサプライチェーンを完結するのは不可能。世界的な株価暴落や景気後退懸念も広がる中、米国内だけでなく欧州連合(EU)などでも反トランプのうねりが広がっている。さらに報復関税の連鎖を招けば、国際社会のさらなる混迷・分断につながりかねない。
 ▼先の大戦を招いた保護主義による経済対立の反省を踏まえ、国際社会は、自由で開かれた貿易体制を目指してきた。あの悲劇を二度と起こしてはならないと、さまざまな難題に対し連携・協力して乗り越えてきた多くの先人たちの努力を無駄にしてはならない。

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