今週のヘッドライン: 2025年05月 1週号
農林水産省は4月18日、家畜防疫対策本部を開催。国内外で家畜伝染病が多発する中、江藤拓農相は侵入・まん延防止対策の徹底強化に総力を挙げて取り組む考えを示した。特に発生が続く豚熱はこれまでの対策の効果を踏まえつつ、清浄化に向けたロードマップの策定へ検討の加速化などを指示。韓国など隣国でアフリカ豚熱や口蹄疫の感染が拡大する中、海外から肉や肉製品など違反品の持ち込みが急増していることから、法改正を含め水際強化策を具体化する方針も示した。国内は人やモノの往来が増える大型連休を迎えている。厳重な警戒が必要だ。
政府は、新たな食料・農業・農村基本計画を閣議決定した。四半世紀ぶりに改正された食料・農業・農村基本法に基づく初の計画で、期間を5年間とし、農業の構造転換を集中的に推し進める方針を掲げた。基本計画のポイントを連載で紹介する。
農林水産省は17日、自民党農地政策検討委員会に2025年3月末時点の「地域計画」の策定状況を示した。策定数(速報値)は全国1613市町村の1万8633地区で、計画区域内の農地面積は424万ヘクタールとなった。
一方、将来の受け手が位置付けられない農地は約3割に上った。新たな食料・農業・農村基本計画では、地域計画を分析・検証した上で、適正な農地利用に必要な制度・事業などを見直す方針を盛り込んだ。同省は現場実態の把握に乗り出す。
山梨県甲府市中道地区の株式会社旬果市場(小林智斉代表取締役、51歳)は、地域の農地を引き受けながら規模を拡大し、野菜・果樹の複合経営(6ヘクタール)に取り組む。経営の柱として看板商品となっているのが、3ヘクタールで栽培する特産トウモロコシ「きみひめ」だ。6月から収穫期を迎え、自社の売店などで販売する。近年は、高温や虫害などで「全ての品目がうまくいく年は、まずない」と話す小林代表。自然災害など高まるリスクに備えて収入保険に加入し、一層の経営発展を目指す。
気象庁によると、今夏も全国的に平均気温が高くなる見通しだ。植物を使って暑さを和らげる"緑のカーテン"は省エネにもつながるほか、目隠し効果や収穫した果実を食べるといった楽しみにもつながる。NPO法人緑のカーテン応援団理事の石川るり子さんに成功の秘訣(ひけつ)を聞いた。
日本工業大学などの研究グループは、ナシ授粉をドローン(小型無人機)で自動化する現地試験を埼玉県農業技術研究センター(久喜市)で開始した。ドローン撮影と人工知能(AI)により飛行経路と花粉の散布地点を割り出した上で、花粉を帯電させて付着率を高める技術を搭載したドローンを用いて授粉する仕組みだ。より少量の花粉で慣行と同等の着果確保を目指す。同大の平栗健史教授は「高品質果実の安定生産に貢献したい」と話す。
【群馬支局】伊勢崎市境島村にある「島村バンドワゴン」代表の町田梨奈(まちだりな)さん(34)は、圃場約55アールで年間を通じて露地野菜を栽培する。ズッキーニ(春と秋の2期作)を主力品目として、ソラマメとニンニク、ケールとブロッコリーを掛け合わせた「アレッタ」など6品目を作付け。JA佐波伊勢崎管内の若手生産者グループ「チームアレッタ」に参加し、アレッタのPR活動を行うなど多くの活動を通して、農業や地域の魅力を幅広い人へ発信する。
〈写真:ソラマメの剪定(せんてい)作業を行う梨奈さん。1株6~8枚になるよう余分な葉を落とす。「手作業で大変ですが生育を促す大事な作業」という〉
【岡山支局】新見市大佐(おおさ)で茶葉1ヘクタールの栽培と製茶、紅茶販売を行う宮本英治(みやもとえいじ)さん(60)は、「紅茶はコミュニケーションの輪を広げることができる」と話す。
〈写真:「四季折々の紅茶を多くの人に楽しんでもらいたい」と宮本さん〉
【山形支局】鶴岡市湯田川催芽場でこのほど、温泉の余り湯を利用した水稲種もみの芽出し作業が行われた。江戸時代後期の1848年から続く伝統作業で、全国でも類を見ないという。
〈写真:鶴岡市内だけでなく、庄内地方の市町や県外など合わせて約670戸の農家が利用〉
【富山支局】高岡市戸出で毎週約9万本、合計約300万本のチューリップを出荷する高岡市切花生産部会。1995年に発足した部会では現在、6人が所属し、ビニールハウスを利用するオランダ式の栽培方法を採用している。露地栽培と違い、連作障害に悩まされない点が特徴だ。
〈写真:集出荷場で部会員たち。部会長の清都大祐(きよとだいすけ)さん(42歳、写真中央)は「全て手をかけて育てているので、全てがお薦めの品種です」と話す〉
▼今年の大型連休は、祝日が分散しているため、会社勤めにとっては"中型連休"が一般的とか。暦の関係とはいえ、帰省や旅行などを楽しみにしている人の残念がる気持ちは分かる。
▼水田地帯では本格的な田植えの時期を迎える。子や孫など家族総出で作業する農家や愛用の田植機の腕前を披露する農家、さらに田植え体験を実施したり、導入したばかりのスマート農機を試したりと、水を張った田んぼはにぎやかになる。
▼さらに昨夏の"令和の米騒動"以降、米の話題は毎日のように報道され、国民の最大の関心事の一つに。価格高騰による米の消費減退を心配する声はあるものの、米の価値が見直され、スポットライトが当たる状況は、長い間米価低迷に苦しみながらも水田を守り営農を続けてきた稲作農家の誇りと営農意欲を高めている。
▼唐突に始まったトランプ米政権との関税交渉で、米をディール(取引)に使うよう主張する声がある。ただ、自国最優先で一方的に関税を課すような国に日本の主食を委ねていいはずがない。