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今週のヘッドライン: 2025年06月 2週号

農家の日常 ポッドキャストから声でお届け(1面)【2025年6月2週号】

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 農業を面白おかしく伝えたい――との思いでポッドキャスト番組「よるののうか」を配信するのは、和歌山市奥須佐の果樹農家、山本康平さん(33)だ。ポッドキャストは、インターネットを通じて音声データを配信するコンテンツで、ラジオとは異なり自分が好きなタイミングで聴くことができる。2019年の開始以降、250本以上を配信。リスナーはおよそ1万人にのぼる。番組からファンを獲得し、自身の農作物の売り上げ拡大にもつなげている。

(1面)

〈写真:収録中の山本さん(右)と伊藤さん。農家のリアルを本音で語る掛け合いが人気を集めている〉

24年度農業白書を閣議決定 特集は新基本計画(2面・総合)【2025年6月2週号】

 政府は5月30日、2024年度食料・農業・農村白書(農業白書)を閣議決定した。「新たな食料・農業・農村基本計画の策定」を特集し、今後5年間で計画に基づき農業の構造転換を集中的に推進する旨を説明。さらに合理的な価格の形成のための取り組みも特集し、今国会に提出した関連法案の概要などを解説している。いずれも改正食料・農業・農村基本法で掲げた食料安全保障の確保に重要な事項であり、その実効性確保には国全体の取り組みが欠かせない。政府には白書内容を周知し、国民理解の醸成につなげていくことが求められる。

(2面・総合)

農業法人の米販売価格 2万~2.5万円が45%超(2面・総合)【2025年6月2週号】

 米の小売価格が高騰・高止まりする中、日本農業法人協会は5月30日、会員を対象に実施した米生産に係るアンケート調査結果を公表した。回答188社の2024年産米の販売価格(玄米60キロ当たり)は「2万1円~2万5千円」が45.2%で最も多く、「1万5001円~2万円」が20.7%、「2万5001円~3万円」は17.0%の順。精米5キロ当たり4千円を超える消費者価格(店頭価格)は「高すぎる」が53.7%となるなど8割が「高い」と認識。同協会では「会員の多くが消費者と同じ危機感を持っている」と分析する。

(2面・総合)

"回して"ファンつかむ 農作物自販機横にガチャガチャ(3面・ビジネス)【2025年6月2週号】

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 三重県伊賀市でアスパラガスや菌床シイタケなどを生産・販売する瑞雲ファームの代表・中井奈緒美さん(43)は、SNS(交流サイト)で自身の取り組みや思いを発信するともに、農作物を販売する自動販売機の隣に「ガチャガチャ」を設置。オリジナルグッズに加え、地域の飲食店で使える割引券などを景品にすることで地域に人を呼び込んでいる。地域や消費者と関わりながら経営を実践する中井さんに大切にしていることを教えてもらった。

(3面・ビジネス)

〈写真上:アスパラガスとシイタケの複合経営に取り組む中井さん。シイタケは品評会で6年連続の受賞〉
〈写真下:自販機と「ガチャガチャ」〉

米の詐欺サイトに注意(5面・すまいる)【2025年6月2週号】

 米価高騰に便乗し、米の通販サイトをかたった詐欺が増えているとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。価格が通常よりも安いサイトを見つけて、クレジットカードで決済したが、商品が届かない、サイト上の連絡先もうその情報だった――などの相談が寄せられている。直販に取り組む農家のサイトが模倣される恐れも指摘されている。

(5面・すまいる)

酪農経営の改善に "牛群検定"活用のポイント(7面・営農技術・資材)【2025年6月2週号】

 家畜改良事業団は5月27日、牛群検定の開始50周年記念講演会を東京都内で開催。農林水産省畜産局畜産振興課の冨澤宗高課長は牛群検定実施による経営改善効果などを紹介した。講演から乳量や体細胞数、繁殖成績の改善・向上などに向けた牛群検定成績表を見るポイントを紹介する。

(7面・営農技術・資材)

ブドウ 海越えた周年栽培へ【山梨県・6月2週号】

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 【山梨支局】「農業は意欲や技術があれば、国籍は関係ない」と話すのは、山梨市でブドウを栽培する水野(みずの)レオさん(41)。「シャインマスカット」をメインに個人名義で1ヘクタール、母親が代表を務める合同会社ZUNOで3ヘクタールを栽培し、JAと卸業者に出荷する。自身の留学経験を生かし、外国人を住み込みで雇用。海をまたいだ周年栽培を目指して海外視察も行っている。

〈写真:芽かきの作業に汗を流す水野さん。海外の品種も試験栽培を行う〉

清流生かして沢ワサビ/住民の生きがいに【和歌山県・6月2週号】

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 【和歌山支局】田辺市本宮町の住民でつくる「四村川(よむらがわ)活性化委員会(会員20人)」では、久田里敏行(くだりとしゆき)会長(72)を中心に、清流でのワサビ栽培とアマゴ養殖に取り組んでいる。久田里会長は「過疎化が進む中、特産品として育てることで、地域の活性化や子供たちの食育につながればうれしい」と笑顔で話す。

〈写真:収穫したワサビを手に久田里会長〉

水稲を大規模生産/積極的にスマート農業導入 【鳥取県・6月2週号】

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  【鳥取支局】鳥取市北村で米の大規模生産に取り組む「株式会社One Seed Farm」は、作業の効率化のため、操舵(そうだ)アシスト付き田植機などスマート農業を積極的に導入している。西根祐輔(にしねゆうすけ)代表取締役(46)は「防除や直播作業に小型無人機(ドローン)を活用していて、もう1台導入する予定です」と話す。

〈写真:「就職先の選択肢に、農業が入ればうれしい」と西根代表〉

米作りにドローン/作業効率が向上 地域防除も担う【長崎県・6月2週号】

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 【長崎支局】平戸市の吉田繁久さん(35)は両親と小麦12ヘクタール、米2ヘクタールのほか、タマネギとジャガイモを栽培する。
 父の後を継ぎ、3年前に農業を開始。作付面積が年々増えていくことから、農業用小型無人機(ドローン)を導入した。「今までは、動噴を使い防除などを行っていたが、ドローンを使い始めて1人で作業できるようになった。効率が上がったことで、別のことに時間が取れるようになった」と吉田さん。水稲防除期には、地域の作業も請け負っていて「『助かった、またお願いします』と声をかけられることが多く、やりがいを感じる」と話す。から製造している。近隣農家からもみすりを請け負っていて、大量に発生する農業副産物の再利用で、地域の持続可能な農業に貢献する取り組みだ。

〈写真:導入したドローンと吉田さん〉

防風林「「気象百五十年史」 高まる防災情報の重要性【2025年6月2週号】」

 ▼気象庁は「気象百五十年史」を公表した。日本で気象業務が始まった明治8年6月から150年の記念史で、気象業務の変遷の記録などをまとめている。
 ▼本編は787頁で「略史」や「通史」を読むだけでも、地震や台風など災害と向き合い、観測強化や防災情報の改善に取り組んできたことが分かる。降水確率予報の開始は1980年、台風進路の予報円方式は82年の採用。2007年には緊急地震速報の運用が始まった。
 ▼より正確で分かりやすい防災情報は命を守る行動の前提となる。気候変動の激化で線状降水帯の発生や台風進路の予測精度向上は急務。大地震・噴火への警戒強化も欠かせない。一方、100%の予測精度は不可能であり、"ハズレ"を容認する社会が防災力向上を後押しする。
 ▼百五十年史は大正時代から親しまれていた新聞やラジオの天気予報が、太平洋戦争中は「軍事機密」として禁止された旨を紹介している。天気予報が得られる日常に感謝しつつ、今日も情報を確認する。

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