今週のヘッドライン: 2025年08月 2週号
「大手スーパーが有機農産物の取り扱い拡大を掲げるようになってきた。生産量を増やして需要に応えたい」と、北海道新篠津村にある有限会社大塚ファームの大塚悠生常務取締役(23)。両親と共に、施設ミニトマト2.6ヘクタールなど有機JASの野菜12ヘクタール中心に経営し、販路は道内外のスーパーや生協との契約が9割以上を占める。冷涼な気候も生かし、人手確保や作業の標準化で有機農産物の安定供給につなげる。
農林水産省は7月30日、「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」を食料・農業・農村政策審議会食糧部会で示し、了承された。ただ、2025年7月~26年6月の主食用米の需給見通しは提示しなかった。24年7月~25年6月の需要量が当初の見通しから37万トン上振れしたことから現時点で予測は困難と判断した。ただ、米の需給見通しは作付け計画の重要な目安となっており、需給と価格の安定に欠かせない。同省は流通実態などを速やかに精査し、広く信頼を得られる需給見通しを早期に示す必要がある。
農林水産省は7月25日、畜産統計(2025年2月1日現在)を公表した。乳用牛飼養戸数は、前年同期比5.0%(600戸)減の1万1300戸で統計開始(1960年)以来の最少を更新。乳用牛飼養頭数は1.5%(2万頭)減の129万3千頭で、1戸当たりでは4.1頭増の114.4頭となった。
「人と同じじゃ、一歩先に出て行けないでしょう」と話す塚田とよ子さん(78)。埼玉県熊谷市西野で水稲や麦を生産するゆたか農場で代表を務める。講演で出合ったもち麦(もち性大麦)に可能性を感じ「古代もち麦」と名付けて商品化。生産から加工まで自らで手がけ、おいしく食べられる方法を追求してきた。消費者の視点からパッケージデザインやサイズなどにも工夫をこらし、固定客をつかんでいる。
全国各地でクマの出没が相次ぎ、人的被害も多発している。さらに今年は東北地方で餌となるブナの実が「大凶作」と見込まれており、秋に向けて出没件数が増える恐れがある。農林水産省は、クマ類の出没情報に注意するとともに、放棄野菜など誘引物の除去や緩衝帯の設置など餌場・隠場の撲滅など対策の徹底と厳重な警戒を呼びかけている。公表資料から生産現場での出没を防ぐための注意事項や遭遇時の対応などをまとめた。
近年、西日本を中心にジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)による水稲の食害が拡大している。熊本大学大学院で工学と農学の異分野横断型の研究に取り組む菊池拓仁さん(32)は、被害防止に役立てようと誘引餌「ジャンタニコイコイ」を開発した。ジャンボタニシが好む食品由来の成分を配合し、誘引捕獲・駆除や効果的な薬剤散布が可能になるという。「農薬不使用や散布作業の省力化に役立つ」資材として、改良・商品化を進めていく考えだ。
【埼玉支局】「子供たちに安全でおいしい米を食べてもらいたい」と話すのは鴻巣市屈巣の秋山芳雄さん(60)。化学農薬や化学肥料の使用を抑え、安心して食べられる米作りを目指す。その支えとなる資材や技術を積極的に導入している。
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2025年作では水稲9ヘクタールのうち約8ヘクタールで、マメ科の緑肥作物「レンゲソウ」と「ヘアリーベッチ」を栽培。10月に播種し、4月下旬にフレールモアーで細断後、ロータリーですき込んだ。〈写真:ゆうだい21の苗の前で秋山さん。万が一に備え、収入保険に加入している〉
【茨城支局】「dropに関わった人を幸せにする。品質の向上や生産量を増やし、商品の安定供給をしていきたい」と話すのは、2020年から収入保険に加入している水戸市成沢町のドロップファーム代表の三浦綾佳さん(36)。前職の広告代理店時代に培ったノウハウを生かし、ブランドトマト「ドロップファームの美容トマト®」を手がける。
〈写真:トマトのハウスで三浦さん〉
【長野支局】飯田市の伊藤牧場(乳牛120頭)では、自給飼料の作付面積を増やしながら行動モニタリングシステムを導入するなど、コスト削減を図りつつ、規模拡大に向け試行を重ねる。
〈写真:給餌作業を終えた伊藤さん〉
【和歌山支局】かつらぎ町志賀でナス33アール、タマネギ30アールを栽培する八森光宏(はちもりみつひろ)さん(27)は、農業の傍ら大学時代に培ったサックスの腕前を生かし、年3回ほどカフェなどでライブを開催。音楽を通して地域住民と交流を深めている。
〈写真:「志賀地区は朝晩の寒暖差が大きく、ナスに深いコクが生まれるのが特徴的」と八森さん〉
▼日米関税交渉の合意は口約束だった。日本政府は、唯一の要求である相互関税の税率引き下げの早期実行を優先し共同文書の作成を求めなかったという。
▼第1次トランプ政権時代に、自ら署名した日米貿易協定すら平然と無視する大統領との交渉であり、政府の対応はやむなしとの声がある。ただ、ことは国家間の交渉。しかも相手は、本来文書化された契約内容を基準とする契約社会の国だ。
▼すでに対米投資の解釈など両政府の合意内容の説明には違いが生じている。さらに米政府は四半期ごとに合意の履行を確認し、大統領の判断次第で税率の再引き上げを示唆。米主導の構図は続く。
▼先輩記者の言葉を借りるなら「相手が一方的に約束(協定)を破った上、いきなり100回殴ると脅されたので、何とか50回で許してもらったようなもの」。結局、痛い思いをすることに変わりはなく、今後、殴られない保障もない。こんな理不尽な話、"相手がトランプだから"で片付けていいわけがない。