今週のヘッドライン: 2025年08月 3週号
環境保全型の稲作に貢献する先端技術として、水田用自動抑草ロボット「アイガモロボ」が注目されている。秋田県にかほ市は、地域の営農法人や農機メーカーなどと連携し、本年産は航行性能などを高めた新型7台を4経営計5.3ヘクタールに導入。抑草や乗用型除草機での作業回数低減の効果を実証している。生産者減少が進む中、有機栽培など環境保全型農業に取り組みやすい栽培体系の確立と面積拡大を図る。
農林水産省は4日、2025年上半期(1~6月)の農林水産物・食品の輸出額は8097億円(少額貨物を含む)と発表した。前年同期に比べ15.5%増え、上半期としては統計開始(02年)以降、初めて8千億円を上回った。日本食レストランの増加などが要因で、農産物では特に牛肉や緑茶などが伸びた。政府は25年に輸出額2兆円の目標達成へ取り組みを後押しする方針。ただ、トランプ関税の発動など輸出を取り巻く状況は不透明感が強まる。また、昨夏の"令和の米騒動"以降、一部消費者は米の輸出拡大に厳しい視線を向けている。産地が安心して輸出に取り組める環境整備が求められる。
気象庁は1日、今年7月の日本の平均気温は平年を2.89度上回り、統計開始(1898年)以降、3年連続で7月の最高だったと発表した。2024年の2.16度高を大幅に上回った。
また、降水量は東北日本海側が平年比13%、北陸は8%にとどまり、1946年以降の7月として最少を記録した。8月も北日本から西日本で厳しい暑さになる見込み。同庁は、気温の予報や熱中症警戒アラートなどに注意し、適切な熱中症予防行動の実施を強調。降水量が少ない地域では水の管理への注意を呼びかける。
今夏は"災害級"の猛暑に見舞われ、東北や北陸などの一部地域では記録的な少雨による水不足も発生。水稲をはじめ農作物への被害が心配されている。さらに本格的な台風シーズンを迎え、暴風雨などの発生リスクも高まる。これらへの備えとして重要な役割を果たすのは農業保険だ。もしも被災した際は、最寄りのNOSAIに対し、農業共済加入者は被害申告を、収入保険加入者は事故発生通知を必ず行ってほしい。被災時の対応などについて稲穂ちゃんがみのるさんに聞いた。
「ちょっと待って! その警察官、ホンモノですか?」――。警察庁は「ニセ警察詐欺」が増加しているとして注意を呼びかけている。警察官を名乗る人物から電話がかかり、言葉巧みに現金をだまし取ったり、振り込ませたりする手口だ。「口座が犯罪に使われた」「逮捕される」などと不安をあおるケースや偽の逮捕状などを見せてくるケースもある。実際の事例や詐欺を見破るポイントについて、警察庁の公表資料から紹介する。
茨城県かすみがうら市で和ナシ6ヘクタールを栽培する株式会社ファーマインド茨城農園(吉岡龍一代表)は、「ジョイントV字トレリス樹形」を採用し、管理作業の大幅な省力化を実現している。主枝を隣接樹に接ぎ木して直線上に仕立て、側枝をV字状に誘引する栽培法で、早期成園化による単収向上も期待できるという。面積拡大を進め、将来的には30ヘクタール規模での生産を目指す。
【秋田支局】昨年、法人化した大仙市土川の農事組合法人小杉山ファーム(構成員5人)は、水稲39.1ヘクタールとスイートコーン1ヘクタールの栽培に取り組む。病害虫と野生鳥獣の対策を徹底し、高品質なスイートコーンを生産。収量確保と経営安定に力を注ぐ。
〈写真:分けつ枝を刈り取る佐々木廣隆代表理事(59)。片方だけ鎌で刈る〉
【石川支局】「濃厚な甘みとねっとりとした黒イチジクの食感を楽しんでほしい」と話すのは、宝達志水町上田でイチジクを約40年作り続けている松浦尚輝さん(69)。60アールで年間5トンを収穫する。主力の「桝井ドーフィン」のほか、県ブランド「黒蜜姫」の栽培に力を注ぐ。
〈写真:8月下旬から出荷を予定する黒蜜姫の生育を確認する松浦さん 〉
【鳥取支局】琴浦町で日向夏やブルーベリーなど10品目以上の果樹、野菜を栽培する「山本農園のぶちゃん畑」の山本伸美(やまもとのぶみ)さん(57)は、昨年夏から「日向夏サイダー」の製造・販売に取り組んでいて、鳥取県主催の「令和6年度・食パラダイス鳥取県 特産品コンクール」飲料部門で優秀賞に選出された。
〈写真:「ラベルデザインは、以前からファンだった鳥取市のイラストレーター・伊吹さんに依頼した」と話す山本さん〉
▼ゴロゴロゴロー。その音が近くなるほど、恐怖を感じる「雷」。雲と雲や雲と地上との間に起こる放電現象で、日本では8月に最も多く発生する。厳重な警戒が必要だ。
▼雷を巡っては近年、調査・研究が進む。世界気象機関(WMO)は7月31日、観測史上の最長記録は米国で2017年に発生したメガフラッシュで829キロメートルと発表。直線距離で東京・札幌間とほぼ同じ。自然の力は想像をはるかに超える。
▼日本では「雷が多い年は豊作になる」旨の言い伝えが、種子や水への放電効果などを通じて実証されつつある。なお、雷の漢字にある「田」は、音を表す象形文字が由来だが、放つ光を「稲妻」と呼ぶのは〝雷光が稲を実らせる〟との信仰が語源。雷は夏の季語で、稲妻は秋の季語だ。
▼一方、気がかりなのは落雷数が近年増加傾向にあるとの指摘。気象の専門家などは、地上付近の高温で上昇気流が強まって雷雲が多発しているとみる。古来の人々は神様の仕業と考え「神鳴り」と呼んだ。今夏も記録的な猛暑。万雷は豊作の一因になるとしても、地球沸騰化を憂う天からの警告であるなら、恐怖心は強まるばかり。