今週のヘッドライン: 2025年09月 4週号
農林水産省は18日、2025/26年の主食用米について新たな需給見通しを示した。直近の消費動向やインバウンド(訪日客)需要などにより需要量は25年実績並みとなる一方、増産と政府備蓄米の供給により、26年6月末民間在庫量は玄米ベースで198~229万トンと予測。25年6月末実績(速報値、157万トン)から最大72万トン積み増されると見込んだ。今後は10月に公表する予想収穫量を踏まえて生産見通しを修正する予定だが、在庫量は適正水準(180万~200万トン)を上回り、需給は不足感から過剰基調へと揺り戻しが起きる可能性もある。
政府は12日、新たな土地改良長期計画を閣議決定した。2025年度からの5年間で、農地の大区画化や中山間地域などにおける省力化に資する整備、老朽化する農業水利施設の計画的な整備・保全などを推進する。特に農地の集積・集約化とスマート農業による生産コストの低減に向け、水田約9万ヘクタールで基盤整備を進め、うち約6万ヘクタールは、1ヘクタール以上の大区画にする目標を盛り込んだ。
各地のNOSAIでは、ドローン(小型無人機)などを導入し、園芸施設や建物の損害評価、薬剤散布など損害防止事業に活用する事例が増えている。効率的な農業保険制度運営や地域の営農を支える各地の事例を紹介する。
包装米飯(パックご飯)の需要が堅調だ。生産量は2025年1~7月に累計15万7273トンと、前年同期比で約7%増えた。国産米の価格高騰に連動して各社製品が値上げとなる中、簡便さのニーズに対応したことや、店頭の精米品薄などに伴う購入により、新たな消費者の獲得につながったとみられる。
5年に一度の国勢調査開始を前に「調査に協力しないとブラックリストに載る」「電話が使えなくなる」といった不審な電話や訪問が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。いずれも国勢調査をかたり、口座情報など個人情報をだまし取ろうとする「かたり調査」と呼ばれる手口だ。センターに寄せられた相談事例や不審な連絡などがあった際の対応などを紹介する。
日本植物防疫協会は17日、水稲の病害虫防除を巡る課題をテーマに東京都内でシンポジウムを開催した。農研機構植物防疫研究部門作物病害虫研究領域病害虫防除支援技術グループの髙篠賢二グループ長補佐が、増加傾向にある斑点米カメムシ類の発生と被害の動向などを報告。特に斑点米に加えて不稔〈ふねん〉も引き起こすイネカメムシの特徴や防除の留意点を解説した。
【石川支局】「丹精込めて栽培したわが家のお米のおいしさを知ってもらい、お米の価値を高めたい」と話すのは、白山市三浦町の寺井英里さん(41)。キッチンカーでおにぎりを販売する「Farmer(ファーマー)てれさ」を2024年2月から営業している。
〈写真:アツアツのおにぎりを提供する寺井さん(右)。休日は夫の達哉さんも一緒に営業〉
【福島支局】水田を活用しタマネギ1ヘクタールを栽培する浪江町の阿部仁一(あべじんいち)さん(87)は、代かき作業でタマネギのべと病削減に取り組み、効果を実感している。
〈写真:「浪江のタマネギは、甘みがありジューシーで、どんな料理でも楽しめる」と阿部さん〉
【岐阜支局】高山市久々野町の中井寛典さん(43)は、ホウレンソウ約90アールとシイタケ約5アールの栽培に取り組んでいる。
「『おいしい』と言われるのが一番うれしい。自分の狙い通りに生育が進み品質のいいものができた時もうれしい瞬間」と笑顔で話す中井さん。品質を大事にしており、購入者の目線で選別するよう心がけている。
省力化・効率化にも注力。播種と同時に必要最小限の量の肥料を施す。また、選別作業は作業効率を高めるため、パート従業員への指導や助言は欠かさないという。
過去にはスマート農業の実証プロジェクトに参加。経営に必要と感じた農業管理システムと無線操縦式草刈機を導入した。
〈写真:消費者目線での栽培を常に心がけている中井さん〉
【静岡支局】浜松市天竜区春野町の伊澤勝俊さん(72)は、キウイフルーツ35アールや原木シイタケ4万駒を栽培する中、特に力を入れているのが120本のサンショウだ。農薬や化学肥料を使わずに栽培するサンショウは「秋葉山ろく天狗サンショウ」の名前で道の駅で販売。ウナギ料理店をはじめとした飲食店とも数多く取引を行う。
〈写真:サンショウの生育状況を確認する伊澤さん〉
▼中学校や高校などで"AI(人工知能)採点"の導入が進んでいるそうだ。答案用紙を画像にしてシステムに取り込むとAIが自動で採点する仕組み。教員の労務軽減や採点の正確性・公平性向上などが利点で、当日のうちに結果をメールなどで通知でき、生徒の早期弱点克服にもつながるという。
▼さらに各生徒の成績に応じた追加課題などをAIが選定・作成する学校も。現在の利用は選択問題が中心だが、いずれ難解な論述問題などにも順応するようになるとされる。AIから知識を得るだけでなく、採点・評価される時代の到来が迫る。
▼東欧・アルバニアでは、汚職対策として公共入札の監督閣僚にAIが生成した架空の人物「ディエラ」を起用するという。一方、米国では、子どもがAIと会話形式でやりとりした後に自殺。両親はAIに誘導されたと訴え、安全性が大きな問題となっている。
▼日本政府は人工知能戦略本部を立ち上げ、「世界で最もAIを開発・活用しやすい国」の実現へ年内に基本計画を策定するとした。道具の進歩が目まぐるしい中、使う側の対応力が問われている。