今週のヘッドライン: 2025年10月 4週号
農林水産省は21日、2025年産米の9月の相対取引価格(全銘柄平均、速報)が、過去最高値の60キロ当たり3万6895円となったと発表した。前年同月比で63%(1万4195円)高い。一方で、10日に公表した主食用米の全国の予想収穫量(9月25日現在)は、従来の1.7ミリの振るい目ベースで前年産比68万5千トン増の747万7千トンとなる見通し。9月に示された需給見通しに反映すると26年6月末民間在庫量は、適正とされる上限の200万トンを上回る218万~232万トンと見込まれ、需給が緩む懸念もある。25年産米について相対取引価格や需給見通しなどを整理した。

高市内閣が21日に発足し、農相に自民党の鈴木憲和衆議院議員が就任した。22日の就任会見で「日本の食料安全保障を確立していく」と強調。米の生産については「需要に応じた生産が原理原則」と述べ、輸出拡大や米粉の利用拡大などを通じて需要の創出・増大を図る方針を示した。「生産現場が先の見通せる農政を実現したい」と強調した。会見要旨を紹介する。
家畜改良センターは、NOSAIが蓄積した家畜診療データを利用し、乳用牛の「疾病抵抗性」の遺伝的能力の評価を開始した。乳房炎など経済的損失が大きい6疾病を対象に、雌牛や種雄牛の「疾病形質」と「疾病抵抗性指数」を示し、疾病予防や効率的な改良につなげるのが狙い。今後は泌乳〈ひにゅう〉形質や体型形質なども含めた総合的改良指数(NTP)に組み込み、現場での普及を促すとしている。

花き業界の企業や団体でつくる花の国日本協議会(井上英明理事長)は14日、東京都内でフラワーサミット2025を開催。「生産を軸に、明日からの新しい花き業界の展望を描く」をテーマに、消費拡大や流通の効率化などに対応した国内生産の実践方策を話し合った。会場とオンラインで生産者や種苗会社、市場関係者など約300人が参加した。

山形県東根市の株式会社北村果樹園代表の北村陽子さん(68)は、「おによめ.com(ドットコム)」という名の加工部門を立ち上げ、栽培したサクランボなどを使った焼き肉のタレやジャムなどの製造・販売に取り組む。メンバーは同級生など8人で、「主婦たちの味を少しでも多くの人に届けたい」と、それぞれの家庭などと両立を図りながら、和気あいあいと活動している。
農研機構はこのほど、でんぷんや焼酎の原料用サツマイモ「コガネタイガン」を育成したと発表した。主力の「コガネセンガン」より4割程度多収で基腐病など主要な土壌病害虫に抵抗性を持つ。萌芽性に優れ苗作りも容易という。併せて発表されたでんぷん原料用の新品種「こなみらい」と焼酎原料用の新品種「はなあかね」の3品種について特徴を紹介する。

【岡山支局】雲海スポットとして知られる高梁市松原地区で、浦田大輔さん(53)はサトウキビ30アール、茶20アールを栽培する。サトウキビは本場沖縄で学んだ手法を生かし、6次化にも取り組む。また、地元の高校と提携した茶の栽培など、農業を通じた地域交流にも積極的だ。
自転車での旅先の沖縄でサトウキビの収穫のアルバイトに3カ月従事したとき、「猛暑の中の作業は過酷だが、作業後の爽快感が忘れられなくなった」という。現在も毎年、サトウキビの収穫に沖縄まで自転車で出かけていく。
〈写真:浦田さんは沖縄で学んだノウハウを取り入れてサトウキビを栽培する〉

【静岡支局】水稲150アール、ナスなどの野菜約50アールを栽培する静岡市の林和弘さん(65)。主に中南米で生産される青パパイア2アールの栽培に力を注ぐ。夏の暑さに強く、成長が早いという特長を生かし、他の作物の管理時期と調整を図り、農作業全体の作業効率を向上させる。
〈写真:「お勧めの食べ方はサラダ」と話す林さん〉

【新潟支局】上越市清里区菅原の株式会社TY GREEN(上原孝代表取締役、67歳)では、焼き芋の販売を12月下旬から開始し、地元住民から人気を得ている。同社では水稲約50ヘクタール、ソバ0.7ヘクタール、露地・ハウス野菜を栽培。水稲をメインに、5年前にサツマイモの苗作りと苗の販売を始めた。
〈写真:「今年、表皮が白く果肉は黄金色の『きみまろこ』も販売予定です」と上原さん(右)と従業員の長尾祐子さん〉

【福島支局】ブドウ38アールのほか、モモ64アールとリンゴ54アールを栽培する福島市飯坂町の「株式会社フルーツのいとう園(従業員3人)」代表取締役・伊藤隆徳さん(77)は、開発した干しぶどうの商談会へ服装を工夫し参加することで、販路拡大に成功した。
〈写真:〈毎回同じ格好で商談会に挑んだ(写真提供=伊藤さん)〉