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今週のヘッドライン: 2025年11月 1週号

小豆島オリーブ牛は香川の宝 オリーブの搾り果実を給与に(1面)【2025年11月1週号】

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 「小豆島オリーブ牛」のブランド立ち上げから15年。第一人者の香川県土庄町の和牛農家・石井正樹さん(76)は、瀬戸内海に浮かぶ島にある畜舎で、今日も牛たちに愛情を注ぐ。特産品のオリーブの搾り果実を飼料にして与え、オレイン酸などを豊富に含むオリジナル和牛肉を生み出し、島の新たな宝へと育て上げてきた。現在、オリーブ飼料を給餌する和牛生産は県内全体にも広がり、国内外に出荷・販売されている。「みんなの力でここまできた」と石井さん。島の牛として次世代にもつないでいきたいと話している。

(1面)

〈写真:一頭一頭を大切にする石井正樹さん〉

需要に応じた主食用米生産へ 現場への説明徹底を(2面・総合)【2025年11月1週号】

 農林水産省は、2026年産主食用米の適正生産量を「需要に応じた生産」に基づき、26年/27年需要見通し(694万~711万トン)の上位値で設定した(関連1面)。需要見通しは、人口減少などを前提に年間10万トン程度としてきた減少トレンドを見直し、直近の1人当たり精米ベース消費量の実績、インバウンド(訪日客)の需要動向、精米歩留まりを考慮した幅で算出。前年(697万~711万トン)とほぼ同水準となった。26年産は政府備蓄米の買い入れ数量を21万トンとし、実質的に主食用米の作付けは25年産と同水準とする。政府には従来の"増産"方針との違いなど生産現場への丁寧な説明徹底が求められる。

(2面・総合)

高市首相が所信表明 農業別枠予算確保を明言(2面・総合)【2025年11月1週号】

 高市早苗首相は10月24日、衆参両院の本会議で所信を表明した。農業分野では、5年間の「農業構造転換集中対策期間」について別枠予算の確保を明言。地域活性化と食料安全保障の確保に「農林水産業の振興が重要」とし、稼げる農林水産業の創出に向け、植物工場や陸上養殖、衛星情報などの先端技術の活用や輸出促進を進めるとした。

(2面・総合)

笑顔が続く営農に データ生かし増収・作業改善(3面・収入保険)【2025年11月1週号】

 群馬県みなかみ町の梅澤耕一郎さん(67)は、リンゴ50アールを主体に水稲57アール、大豆30アールなどを栽培する。日頃から営農データを整理・分析して増収や作業改善につなげるとともに、データを研究機関や近隣農家とも共有。地元のリンゴ研究会に参加するなど栽培技術のさらなる向上にも取り組む。収入保険には2019年の制度開始時から加入し、凍霜害や高温被害で減収が生じた際には、保険金等を受け取り、経営安定を図ってきた。

(3面・収入保険)

理想の暮らし求め里山へIターン 農業に夢広がる(5面・すまいる)【2025年11月1週号】

 「理想の暮らしをかなえる仕事が農業だったんです」と話す、長野県茅野市豊平泉で特産品のキクを栽培する、やまファームの鈴木紘平さん(46)、仁美さん(34)夫妻。里山のそばで生活したいとの夢を追い、同市にIターン就農して7年目となる。産地の一員としてキクの安定生産・出荷に努めるとともに、規格外品を活用し、華道家などにアレンジメントを実演してもらうイベントを開くなど、キクの魅力発信に取り組んでいる。

(5面・すまいる)

二つの対策を説明 畜産施設の悪臭低減(7面・営農技術・資材)【2025年11月1週号】

 畜産経営の苦情として最も多い悪臭問題の解決をテーマに農林水産省などは10月15日、畜産環境シンポジウムを開いた。畜産環境整備機構畜産環境技術研究所の小堤悠平主任研究員は、密閉縦型堆肥化装置(縦型コンポスト)と固液分離装置に対応した二つの対策を発表。高濃度の臭気が発生する畜産設備の臭気低減技術について成果と課題を整理した。

(7面・営農技術・資材)

落花生に注力/新たな特産品へ【秋田県・11月1週号】

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 【秋田支局】「温暖化に伴い、寒冷地でも落花生の栽培が可能になっている」と話す秋田市金足片田の佐藤晃平さん(28)。10年前から落花生を作付けし、安定した収量の確保に努める。さらに、県内での作付け拡大を視野に入れ、新品種の開発を目指す。

〈写真:収穫した「おおまさりネオ」を手に佐藤さん。土から掘り起こすと莢〈さや〉が大量に付いている〉

ミカンの皮で加工品作り/規格外を有効利用【福井県・11月1週号】

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 【福井支局】敦賀市東浦地区の元比田で「東浦みかん」を栽培する下野浩稔さん(65)。64歳で会社を退職し、母の寿栄子さん(91)からミカンの栽培技術を学ぶ。現在、寿栄子さんが営む観光農園「下野長兵衛みかん園」を手伝いながら、ミカンの皮を生かした加工品作りにも取り組み、6次産業化による新たな価値づくりに挑む。

〈写真:東浦みかん入り一味(中)とみかん塩(左)、摘果ミカンを使ったみかんぽんず(右)〉

ヘーゼルナッツ生産・加工/ブランド化へ奮闘【岩手県・11月1週号】

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 【岩手支局】「栽培に手間がかからない。誰でもどこでも簡単に栽培できる作物」と話すのは、盛岡市と雫石町の畑など約100アールでヘーゼルナッツを栽培する滝沢市在住の内澤啓太さん(37)。加工・販売も手がけ、県内で栽培されたヘーゼルナッツ「IWATEZE〈イワテーゼ〉」のブランド化を目指し奮闘している。

〈写真:「ヘーゼルナッツをたくさんの方に食べてもらって、おいしさを広めたい」と内澤さん〉

防風林「ツーリストシップで旅行者も受け入れ先も幸せに【2025年11月1週号】」

 ▼円安などを追い風に訪日客数の年間4千万人超えが見えてきた。1~9月の推計は前年同期比17.7%増の3165万人と、最速で3000万人を突破。一部観光地などは"多国籍化"が日常になっている。
 ▼経済効果は大きく、9月までの宿泊や買い物などの消費額は約6兆9000億円に上る。地域の雇用創出や税収増などに加え、米を含む日本産農畜産物の需要拡大にも寄与。一方で、治安の悪化などを含めオーバーツーリズム(観光公害)も顕在化している。
 ▼2030年に訪日客6000万人を掲げる政府は、観光公害対策と併せて地方への誘客を進める方針。高市早苗首相は所信表明で訪日観光の重要性を強調するとともに、一部の外国人による違法・ルール逸脱行為には毅然と対応するとした。
 ▼近年は"ツーリストシップ"という考え方が注目を集めているそうだ。スポーツマンシップの旅行者版で、旅先に配慮し貢献しながら交流を楽しむ姿勢・行動を指す。人々をその地に引きつける魅力は、そこで暮らす人たちが守っている。秋の行楽シーズンも終盤を迎えた。国内外を問わず、旅行者も受け入れ地域も、共に幸せになる異文化交流を広げたい。

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