今週のヘッドライン: 2026年01月 1週号

福島県鮫川村の若手農家4人が"農業で村を元気にしよう"と新たな挑戦に動き出している。経営はそれぞれ異なるが思いを一つに「さめがわプライド」のチーム名で農業体験の受け入れや首都圏での販路開拓などに取り組む。メンバーの進士陽平さん(30)は「村の子供たちが大人になっても活気を感じられる村にしたい」と話す。

岡山県西粟倉村の木材工場「西粟倉森の学校」は、体験イチゴ園を新たな目玉に、森林資源を生かした観光事業を展開する。高設栽培の培土に地域の木材加工で副産物となる樹皮やおがくずを利用。イチゴ狩りや果実加工品などを提供するレストランを合わせて年間延べ4万人が訪れ、里山での交流人口増加につなげている。施設を運営する株式会社エーゼログループ自然資本事業本部の亀田惇チームリーダー(43)は「イチゴでの集客を通じて、村の食や木材、自然環境に触れるきっかけをつくりたい」と話す。
豪雨や台風など自然災害が頻発化・激甚化する中、農業経営のセーフティーネットとして農業保険は被災農業者の経営継続や早期再建を支えている。発生から2年となる能登半島地震の被災地で復興に力を注ぐ農家を取材。また、昨年10月の台風22号、23号で甚大な被害を受けた東京都・八丈島で被災農家の声を聞き、NOSAI東京(東京都農業共済組合)の対応を紹介する。

「みなさ~ん、こんにちは。やよいのやさいの時間です」――スマホに向かって笑顔であいさつするのは、長崎県西海市西彼町の朝長やよいさん(69)。野菜やかんきつなどを少量多品目で栽培する傍ら、ユーチューバーとして"農のある日常"の魅力を発信している。視聴者も元気にしたいと撮影者の夫・紀文さん(76)と中山間地での身近な話題を明るくユーモアを交えながら紹介。これまでに配信した動画は220本以上を数え、登録者数は3万6千人を超えた。大村湾を前に2人のにこやかな声が響く撮影現場をのぞかせてもらった。

生産現場で、かんきつの新たな品目・品種への挑戦が広がっている。温暖化への対応とともに、国産のレモンなど追い風が吹いている品目もある。特産化を目指す現場の取り組みや今後注目の品種など、新顔たちの今を探る。

生活を豊かにするものの一つに挙げられる花。切り花や鉢花は、季節を感じ、プレゼントや装飾などに思いを表現するものとして彩りを添えている。丹精込めて栽培し、「令和6年度宮城県花き品評会」で受賞した中から3人を紹介する。
〈写真:「猛暑などの環境に負けないカーネーションを作り、たくさんの方に届けたい」と名取市の太田伸也さん(46)〉

山形県の調査によると、2025年度の新規就農者数は、東北6県の中では10年連続1位──。山形農業をけん引していく若い世代へバトンは受け継がれています。「農業の未来を守りたい」という強い決意のもと、力強く未来へ走り出す、それぞれの物語を紹介します。
〈写真:「血がつながっていないからこそ、ある意味『仕事』と割り切って互いに向き合える場面も」と第三者継承の利点を話す酒田市の髙橋一志さん(60歳・中央)。髙橋さんから事業を継承する、髙橋大地さん(30歳・左)、栗田翔さん(32歳・右)〉

農作物に付加価値を持たせ、新たな魅力を広め、地域のイメージやブランド力の向上につながる一つに「酒」があります。それぞれの土地で栽培された農作物の特徴を生かした味と香りを楽しめます。今号では栃木県と群馬県、埼玉県、山梨県の特産酒の原材料を生産する農家を取材し、栽培の工夫や思いなどについて聞きました。
〈写真:「副梢栽培について山梨大学に講義を聞きに行った」と堀内孝さん(71)。収穫した醸造用ブドウは自社でワインに加工し販売する〉

地域の農業を支えるのは、日々の作業に真し んし 摯に向き合う生産者の力です。中でも近年は、女性農業者の活躍が各地で広がっています。家族経営の継承や新たな挑戦、災害からの再出発など、背景はさまざまです。新年号では北信越5県で営農に取り組む女性たちに、その歩みや思いを聞きました。
〈写真:園地でリンゴの成熟具合を確かめる能登町の山岸久美子さん(85歳・右)と内灘町の東(あずま)明美さん(62)〉

生産者の高齢化や自然災害の激甚化などが課題となる中、農業に魅力を感じて就農し、夢や目標を胸に挑み続ける若手農家の姿を近畿各地から紹介します。
〈写真:葉ボタンの葉かき取りをする宍粟市の前田敬太さん(31)。「できるだけ多くの色の花を育てるように工夫しています」と話す〉

農業は3K(きつい、汚い、危険)のイメージを持たれてきた。しかし、生産現場では、新技術導入による作業の効率化や、他産業並みの労働環境の整備など従来のイメージを払拭する経営も展開されている。今回は働きやすさを意識し、労働環境の改善に取り組む農業者に話を聞いた。
〈写真:「米・食味鑑定士」や「お米ソムリエ」の資格を持つ大洲市の沖野順一さん(38)。「視覚化された分布図を基に質を高めている」と話す〉

九州・沖縄地区の若手農家が創意工夫した研究成果を発表した「令和7年度九州・沖縄地区青年農業者会議」。未来の農業を切り開く若手農家が、経営課題解決のため工夫を凝らした研究内容を紹介する。
〈写真:「情報を集めて、挑戦を続けていきたい」と再生二期作の試験栽培にも取り組む錦江町の柿迫光樹さん(28)〉
▼新年のニュースは国際情勢や経済などの行方を占う話題であふれる。一方で、生産現場では今年も朝日を拝み、天候に向き合い、土壌の状態を確かめ、農産物の状況に気を配る。作柄を占うのではなく、豊作を信じて積み重ねる農の営みが、豊かな日本の食を支え、暮らしを守り、地域を次世代につなぐ。
▼農家の高齢化や担い手不足の進展をはじめ、生産資材価格の高騰・高止まりに気候変動による自然災害の頻発化・激甚化など、農業・農村に関する見立ては厳しいものばかり。とはいえ、農作物は待ってはくれない。たとえ、市場価格が見通せず、政策が変わったとしても、土を耕し、種をまく。病害虫や野生鳥獣に対処し、自然災害への備えに努める。農家一人一人が日々足を運び、決して移動することのない田畑を守っている。
▼ただ、消費者はそれを当たり前と捉えてはいないか。スーパーに農畜産物が整然と並ぶのは偶然の産物ではない。その向こうには数えきれない作業や判断があり、代々受け継いできた農地を守り、不作に負けず生産し続けてきた努力がある。そして今、その土台は大きく揺らぎ、危機にあることに思いを寄せているか。
▼農業・農村の危機は日本の危機だ。不確実性が高まる時代だからこそ、農家が消費者の食を支え、適切な選択を通じて消費者が農家の持続的な生産を支える運動を広げたい。批判や分断、対立の先にある不安ではなく、感謝と協力のもと、農家と消費者とがつながることで安心を見いだす年にしていこう。