今週のヘッドライン: 2026年06月 1週号

群馬県昭和村でコンニャクイモの生産(計23ヘクタール)から加工・販売を手掛ける石井邦彦さん(39)と妻の萌さん(41)が、こんにゃくを使った新商品「YUMPICK(ヤムピック)」の販路開拓に挑戦している。歯の健康をサポートする商品としても期待できる"グミ"で、輸出も視野に積極的に展示会へ出展する。「だれもやったことがない、見たことがないってワクワクするんです」と邦彦さん。4代続く農家の後継者としてこんにゃくが持つ可能性を信じ、ダイエットや美容などの分野にも広げていきたいとしている。
政府は5月29日、2025年度食料・農業・農村白書(農業白書)を閣議決定した。特集は「米の安定供給に向けた対応」で、24年夏以降の品不足や価格高騰の要因を整理し、備蓄米の売り渡しをはじめ新たな算出方法による需要見通しの見直しなど対応を説明。26年6月末民間在庫量が直近10年で最高水準になると見込まれることなどを解説するとともに、需要に応じた生産などを柱とする食糧法の改正を検討していることなどを記述した。トピックスは地域計画の取り組みなど二つで、本編は「農業の持続的な発展と食料自給力の確保」など全7章で構成した。
農林水産省は5月27日、2026年産政府備蓄米の第3回入札結果を公表した。提示数量3万6089トンに対し、3万4396トンの入札があり、落札数量は3万2757トンとなった。落札合計数量は20万4189トンとなり、買い入れ予定数量(20万7521トン)の98.4%を確保した。

富山市池多でハーブファーム富夢創野(トムソーヤ)を営む有澤久志さん(66)は、露地約70アールでラベンダーを栽培するとともに、ハウス3棟でハーブなど計350品種ほどを生産。顧客の「富夢創野に行けば欲しいものがそろっている」との思いに応える園づくりに取り組んでいる。収入保険には2022年に加入。夏場の長雨によりラベンダーが湿害を受けた際には保険金等を受け取り、経営安定につなげた。さらに園芸施設共済にも加入して、もしもの備えを万全にしている。
農業者の老後の安定的な生活を支える農業者年金制度。農業者年金基金によると、2026年度の加入者累計は14万984人で、若年層や女性農業者を含め加入のメリットなどを発信している。加入要件や税制面の優遇など特徴を紹介する。
小型無人機(ドローン)による農薬などの散布面積は2023、24年度と2年連続で100万ヘクタールを突破。対応する農薬の選択肢も水稲や麦のほか、野菜、果樹など増えている。しかし、現場では散布中の農薬飛散(ドリフト)や機体落下などの事故が発生し、農林水産省では安全対策を呼びかけている。公表資料から安全対策のポイントをまとめた。

【群馬支局】「2年続けて降ひょう被害を受けるとは思わなかった。園芸施設共済に加入していて良かった」と話すのは、伊勢崎市赤堀鹿島町の齋藤弘司さん(73)。妻と娘夫妻の4人でスイカとホウレンソウをパイプハウス30棟(50アール)で栽培する。「後を継いでくれようとしている娘夫婦がいるので収入保険にも加入した。園芸施設共済と共に、防ぎようのない気象災害などに備えたい」と話す。
〈写真:スイカの摘果作業をする齋藤さん〉

【山形支局】リンゴの品種ごとの個性をシードルで表現しようと、東根市野川の植松和也さん(47)が商品化に向け準備を進めている。妻の愛さん(40)と「植松フルーツ」を運営し、園地ではリンゴやモモ、ブドウなどを栽培。中でもリンゴは「紅の夢」「うまじろう」「星の金貨」など約30品種を栽培する。経営では「人と同じでなくていい」との思いを大切にする和也さん。自分の興味だけでなく、市場や取引先が何を求めているかにも目を向ける。
〈写真:シードルを通じてリンゴの新たな魅力を伝える植松さん夫妻〉

【新潟支局】古石拓未さん(38)は佐渡市真野地区で30群の養蜂に取り組む。自然豊かな島の環境を生かし、純粋な国産蜂蜜作りに励む若手生産者だ。新潟市出身で、母方の実家が佐渡市にあった縁から、2021年に島へ移住して養蜂を本格的に始め、現在6年目となる。同島の多様な植生が生み出す百花蜜は、香り豊かで優しい味わいが特徴だ。添加物を加えず、自然そのままの風味を届けることを信条に、地域の新たな特産品となることを目指している。
〈写真:巣箱の前で蜂蜜を手に古石さん〉

【熊本支局】ジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)による稲の食害が深刻化する水田に駆除トラップを設置し、その効果を検証している球磨郡の「ジャンボタニシ研究所」。薬剤を使わずに誘引餌を活用し捕獲する方法を検証し、被害減少に力を注ぐ。
〈写真:研究所のメンバー〉
▼今月は食育月間。国や自治体、関係団体などは協力して食育推進へ国民運動を展開する。6日の栃木県内での全国大会をはじめ各地で関連イベントなどが開かれる。
▼重点事項には「学校などでの食や農に関する学びの充実」や「国民の食卓と生産現場の距離を縮める取り組みの拡大」を挙げた。気候変動や紛争激化などで国内の食を取り巻く情勢も激変の最中。また、5月27日には食料安全保障の確保に資する食育の推進などを目的に追加した改正食育基本法が施行した。国民が健全な食生活の実践に不可欠な食料の問題を"わが事"として捉え、日本農業の応援団が増える月間にしたい。
▼今年は「『大人の食育』の推進」も重点事項だ。成人以降は体調を崩してから食生活を見直すことも少なくない。食べることは生きること。改めて心に置く。
▼社会人として子どもたちの食にも思いをはせたい。子育て中の世帯の1割強が貧困で食料を買えない経験をしているとされる中、子どもたちに食事や団らんを無償(安価)で届けるこども食堂が急増。昨年度の全国箇所数は1万2602と5年前から倍増し、全国の公立中学校数(約9000)の1.3倍に。利用者数は年間延べ1732万人に上る。
▼そんな次世代の"命の砦(とりで)"は、多くが地域住民の自主的な活動で運営されている。ただ、ここにも物価高の波が押し寄せている。そもそも少子化時代におなかを空(す)かせた子どもが増える状況を見逃していいはずがない。国を挙げた対応が必要だ。