今週のヘッドライン: 2026年06月 3週号
能登半島地震から7月で2年半を迎える。猟師やジビエ(野生鳥獣肉)利活用アドバイザーとして、石川県を拠点に活動する福岡富士子さん(55)は、避難先である能美市で総菜店「富士SUN」を5月末に開店した。シカ肉のソーセージなどを販売するとともに、併設のカフェで能登産米などを使ったランチを提供する。震災により、穴水町で営んでいた民宿が全壊し、移動販売などを経て、新たな拠点を立ち上げた。「里山の重要性や狩猟の魅力を伝える場所にしていきたい」と話す。
Jミルクは5日、2026年度の生乳と牛乳乳製品の需給見通しを更新した。全国の生乳生産量は前年度比1.2%減の731万トンで3年ぶりの減産見通しとなった。都府県は5年連続、北海道は3年ぶりの減産を見込む。前回(1月)見通しから5万2千トンの上方修正は、乳用雌牛の減少が見込まれるものの、上振れ傾向で推移してきた個体乳量が反映された。25年8月の乳価改定後は、牛乳類の消費は前年水準を下回って推移する。中東情勢の影響が懸念される中でも、牛乳乳製品の消費拡大の取り組みを推進し、生産基盤の維持・強化につながる環境整備が欠かせない。増加傾向が続く脱脂粉乳の過剰在庫解消も酪農乳業にとって喫緊の課題だ。
政府は10日、米の安定供給に向けた関係閣僚会議を持ち回りで開き、2027年度からの「新たな水田政策(コメの中長期対策)の基本的な考え方・仕組み」を決めた。農林水産省は22日から地方説明会を開く。
2025年度食料・農業・農村白書(農業白書、5月29日公表)では、収入保険の加入者が拡大し、農業共済と合わせた農業保険の加入率(作付面積ベース)が水稲・大豆で8割を超え、麦は9割を超えていることなどを報告している。以下、農業保険に関する報告内容の概要を紹介する。
今夏も高温傾向が予測されており、熱中症予防が欠かせない。夏場の作業をサポートするアイテムをアグリウエア「のらぎや」代表の生田
弘美さんに紹介してもらった。
農林水産省は、6~8月に「農薬危害防止運動」を実施し、農薬の安全かつ適正な使用や保管管理などを推進する。本年度は運動のテーマを「使用前、周囲よく見て ラベル見て」とし、誤飲誤食の防止やラベルによる使用方法の確認などを重点指導項目に挙げている。公表資料から安全・適正使用のポイントをまとめた。

【栃木支局】「理想とするのは甘みと酸味のバランスが取れたトマト。自分がおいしいと思えるものを作り、それを消費者にも評価してもらえれば」と話すのは、佐野市小中町の「君田農園」園主・君田聖浩さん(61)。米麦約21ヘクタールとトマト63アールを栽培する。収穫したトマトの約7割をJA佐野に出荷し、3割を自宅に隣接する直売所で「君ちゃんトマト」として販売する。
〈写真:「トマト好きな子供が増えてほしい」と聖浩さん〉

【秋田支局】2021年に就農し、ネギ栽培に取り組むにかほ市平沢の藤原光博さん(40)。同市の就農アドバイザーからの勧めで、23年に収入保険へ加入した。補償の厚さと対象品目の多さなどが加入の決め手となったという。昨年は、干ばつと大雨被害で保険金等を受け取った。青色申告書類の提出から保険金等の支払いまで1カ月ほどと迅速な対応で、経費支払いに充当できた。
〈写真:「今後も手厚い制度が持続してほしい」と藤原さん〉

【福井支局】若狭町岩屋の農事組合法人岩屋ファームは今年、節水型乾田直播による水稲栽培を3.3ヘクタールで試験導入する。水を張らずに種を直接播く栽培方法で、水稲の省力栽培として注目されている。
〈写真:播種前に、鳥やタネバエの食害を防ぐ忌避剤とマイコス菌を種もみにまぶす瀬尾佳彦さん(左)と代表の吉田清隆さん(76)〉

【広島支局】「直売所だからこそ、新鮮で手頃な価格で販売できる」と話すのは、福山市の「農事組合法人むべやまの里」組合長理事を務める寺岡範晃さん(37)。同市駅家町にある約6ヘクタールの圃場のそばで直売所を運営する。
野菜など収穫したその日のうちに店頭に並べ、イチジクなど足が早い作物は、完熟した一番おいしいタイミングで収穫し提供する。イチジクは1日に2500パック売れることもある人気商品だ。
〈写真:「5分前に収穫したものを販売することもあります」と寺岡さん〉

【山形支局】2024年7月25日の豪雨で被災した酒田市西荒瀬地区の水田が復旧し、1年ぶりに田植えが行われた。
同市上市神で水稲5.5ヘクタールを栽培する伊藤正行さん(60)は「『良かった』の一言に尽きる」と安堵の表情を浮かべた。
〈写真:早苗の水田を背に笑顔の伊藤さん〉
▼メルコスルとは、ポルトガル語で南米の貿易圏を指す。スペイン語ではメルコスールといい、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビアの5カ国が加盟。日本語では南米南部共同市場と訳す。
▼1995年に発足し、域内関税・非関税障壁の撤廃などに加え、域外との貿易政策などでも協調する。人口約3億人、経済規模約3兆ドルの成長市場で、日本政府はこの貿易圏と新たに経済連携協定(EPA)締結を目指すという。自動車などの輸出拡大はもとより原油や重要鉱物の調達先多角化などにつなげるのが狙い。
▼中東情勢の緊迫化で、経済界は豊富な資源を持つ南米と連携強化へ早期締結を求めている。物価高や石油製品の供給不安に直面する国民の理解も得やすいとの見方も。ただ、相手は食肉や穀物、砂糖などの輸出大国であり、安価な南米産品の流入を招けば国内農業への打撃は必至。前のめりでは将来に禍根(かこん)を残しかねない。
▼今や超大国の大統領が同盟国との貿易協定を一方的に反故(ほご)にする時代。政府には国内生産基盤の強化を大前提に強(したた)かな対応を求めたい。