今週のヘッドライン: 2026年06月 4週号

神奈川県山北町で薫る野牧場を営む花坂薫さん(37)は、ジャージー牛を用いて山地酪農に取り組み、搾りたての生乳を使ってオリジナル牛乳やソフトクリームを製造・販売する。牛を"大切な仲間"と捉え、健康管理を徹底。餌としてノシバを活用し、通年で放牧することで山の適切な管理につなげる。酪農を志す同年代の相談にも乗っている花坂さん。いずれは「山地酪農を経営スタイルの一つとして当たり前の存在にしたい」と笑顔だ。
政府は南米南部共同市場(メルコスル)との経済連携協定(EPA)交渉を6月中にも始めることを決めた。高市早苗首相は16日にブラジルのルラ大統領と会談し交渉入りを発表した。会談後の共同声明では「双方のセンシティビティに配慮しながら、全ての品目を交渉の対象」に交渉を進めると明記。経済規模約3兆ドルで農産物輸出大国が加盟する貿易圏との国益を懸けた交渉となる。政府がこれまでの貿易交渉で守り抜いてきた牛肉や砂糖など農産品の重要5品目をはじめ、農産物市場の協議に注視が必要だ。
産業動物獣医師の確保対策が課題となる中、NOSAI協会(全国農業共済協会、髙橋博会長)は5月30日に日本獣医生命科学大学、31日には麻布大学で、NOSAI獣医師職員採用説明会を開催。各地のNOSAIの獣医師がブースを設け、学生たちに対面で産業動物獣医師の業務などを紹介した。NOSAI獣医師は、家畜共済での保険診療や事故低減対策をはじめ家畜防疫や家畜衛生、さらに生産獣医療の提供など畜産経営の発展や国内畜産物の安定供給を支えている。各地のNOSAIでは、獣医学系大学の学生実習を受け入れるなど就業の後押しをするとともに、より一層働きやすい職場環境づくりなどに努めている。
カブは、白さと丸い形のイメージが強いが、赤や紫
など色鮮やかな品種もある。さらに調理次第で食感や
甘みが変わる点も魅力の一つだ。本紙4週号営農技術
・資材面で「注目の種苗」を執筆する株式会社ヒュー
マンコミュニケーションズ代表取締役の阿比留みど里
さんに、変わり種の注目品種を紹介してもらう。
熱中症予防に向けて屋内での利用が推奨されているエアコン。ただ、修理トラブルが増加しているとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。特にインターネットで依頼した業者に高額な料金を支払わされたケースや、修理しても直らないといった相談が相次いでいるという。公表資料から相談事例とトラブル防止に向けた留意点などを紹介する。

露地ダイコンを年間延べ30ヘクタール栽培する千葉県旭市の株式会社まるはちFarmは、品種選定や緑肥による土づくり、有機資材主体の施肥などを基盤に、天然甘味料「ステビア」資材の施用で食味向上なども図る。猛暑が続く近年も、出芽と初期生育の安定を図り、収量・品質を確保している。記録的な少雨・高温となった2025年夏は、播種後の散水も行い、例年同等の10アール当たり収量8㌧を確保した。石毛浩貴代表(36)は「ダイコンの作付けが全国的に減る中、規模拡大と安定生産の両立で需要に応えたい」と話す。

【富山支局】「高岡市の葉物野菜の魅力を多くの人に知ってもらいたい」と話すのは、姫野穂乃芳さん(32)。高岡市木津で園芸用ハウス6棟約10アールでコマツナを栽培している。家庭菜園を通じて農作物を育てる楽しさを知り、就農を目指すようになった。その後、専業農家で1年間研修を受け、2023年5月に就農。丁寧な栽培管理と工夫を重ねながら、地域へ新鮮なコマツナを届けている。
〈写真:「近隣の皆さんに新鮮なコマツナを届け、もっと知ってもらいたいです」と姫野さん〉

【岐阜支局】平塚新一さん(85)は、高山市で繁殖和牛18頭を含む肉用牛40頭を飼養する。「牛のことを一年中考えている」と娘の真紀さん(50)から言われるほど牛を愛する平塚さん。「昨年病気をしたが、牛たちを世話することがリハビリになった」と話す。時間があれば牛舎に行き、旅行から帰っても自宅より先に向かうのは牛舎だという。
現在、真紀さんと孫の比嘉月美さん(24)と3世代で、協力しながら飼育する。
〈写真:左から月美さん、平塚さん、真紀さん。3人が愛情をたっぷりかけて牛を育てる〉

【福島支局】水稲10ヘクタールを栽培する白河市の飛知和秀郎さん(69)は、直播栽培を導入し収量を維持したまま労力の削減に成功した。
〈写真:播種機に取り付けた塩ビ管について説明する飛知和さん〉

【岩手支局】盛岡市大ケ生の有限会社アグリプラン(佐々木曻代表=80歳)では、1995年に特許を取得した吊棒栽培法で菌床シイタケを栽培する。佐々木代表は「作業時の体勢が楽。棚で栽培していた時と比べて収穫忘れも減った」と話す。
〈写真:「菌床が良く見えるので、収穫忘れが少ない」と佐々木代表(奥)〉

【和歌山支局】「地域のためにできることをして貢献したい」と話すのは、御坊市で水稲2.2ヘクタールに取り組む中村友哉さん(34)。2024年から小型無人機(ドローン)を活用した水稲の直播栽培に挑戦していて、地域の農家からの依頼も受けている。
〈写真:ドローンを整備する中村さん〉
▼1%か。飲食料品の消費税率の話。17日の超党派による社会保障国民会議で、現行8%の税率を来年4月から2年間限定で1%に下げる議長案が示された。
▼与党は衆院選で2年間ゼロを掲げたが、レジ改修の期間短縮を優先した。議長案では1%分の税収約6000億円を原資に「きめ細かな給付」を導入し「実質ゼロ」にするとある。物価高の中、消費者の減税期待が高まる。
▼一方、多くが免税事業者の中小農家は手取りが減る懸念がある。消費税は、売り手が「買い手から預かった税金」から「仕入れ時に支払った税金」を差し引いた額を納めるのが基本。飲食料品が1%になると預かる税金(売り上げ)は減る一方、生産資材の仕入れ時に支払う税金は変わらないためだ。
▼免税事業者には消費税の還付制度はなく、農家手取りは年間3千億円以上減るとの民間試算も。物価高の荒波は国内農業にも押し寄せている。ただ、生産現場は安全・安心な農産物の安定生産に努めている。首相が「悲願」とする消費税減税で、農家の負担が重くなるなどあってはならない。十分な対策が必要だ。